『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
シティポップの空気を纏うイントロでしっとりと始まる、おしゃれな大人のラブソング――Aメロあたりまではそんな印象を持つのだが、聴き進めていくにつれて溢れ出るあたたかな愛に触れることができる。まっすぐで王道感のあるサビの突き抜けるメロディは、飾らない想いを届けるのにあまりにふさわしい。独特な言葉選びはpachaeらしさを構成する一要素でもあるが、今作ではあえてシンプルな言葉で綴ることで楽曲の誠実さが増している。特に《昨日の言い合いは/覚えたままで好きだよ》という一節は、お互い嫌な気持ちになってしまったことも糧にして、より深いところまでわかり合うことができるということを端的に表していて、大きな愛を感じる。アレンジも然りで、間奏にギターと鍵盤の見せ場はありつつも、あくまで歌を届けることを最優先させた繊細な音作りがこの曲のメッセージを引き立たせる。音楽的な複雑さや演奏技術の高さというアドバンテージを発揮しながらも、バンドの殻を破った1曲。(有本早季)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年2月号より)
『ROCKIN'ON JAPAN』2月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。