大阪の4人組ガールズバンド、ヤユヨの3作目のミニアルバム。昨年の春あたりから、本格的に全国のフェスに出始めたバンドで、各地で何度か観た。その頃の印象があったもんで、この音源を聴いてちょっと驚いた。もっとガシャッとしたガレージな演奏で、普通の人の歌声で、全体に大学生のサークルバンドっぽい身近さがある(実際は4年前に高校の軽音部で結成)、そこがチャームポイントになっているようなバンドじゃなかったっけ。いや、ここで聴ける5曲も、「ガシャッとした演奏」と「普通の人っぽい歌声」だし、だから身近な音であることは同じであって、そもそもの自分の印象が誤っていた可能性も大いにある。でも、本作はもっと端正というか、凛としているというか、自分のことも他者のことも冷静に捉えて解釈したうえで、表現としてアウトプットしているような感触がある。曲調もアレンジも「すぐコピーできそう」であることはキープしつつ、コードやメロディの展開は「誰でも書けそう」を絶妙に裏切っていくのも素敵。歌詞も、聴けば聴くほど細部まで冴えている。またライブを観たくなった。(兵庫慎司)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年5月号より抜粋)
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