今年一発目の新曲“Enchant”は、まさに昨年夏の楽曲“BUG”がそうであったように、オーラルが明確にネクストフェーズへ突入したことを示す超攻撃型のロックナンバーだ。昨年10月の主催イベント「PARASITE DEJAVU」初日の終盤で、山中拓也(Vo・G)は、「今までのオーラルと今までの山中拓也にさようなら」と告げていたが、今回の新曲は、あの言葉に込められた深い覚悟と未来への意志を、鮮烈な轟音を通して改めて伝えている。「理想的な自分になる」のではなく、「理想を捨てて、新しい自分になる」。それこそがあの宣言の真意であり、まるですべての理性を捨て去ってしまったように、自由に過激さと過剰さを追求した同曲のドープなサウンドは、4人があらゆる制約から解き放たれたかのような鮮やかな覚醒感を放っている。昨年夏以降、数多くのライブやフェスの場で、新機軸の“BUG”が受け入れられたことは彼らにとって大きな自信になったはずで、だからこそ、今回の新曲にも一切の迷いはない。その迷いのなさからこそ生まれる破天荒さ、アバンギャルドさ。これがオーラルの新しい王道だ。(松本侃士)
(『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より)
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過激で過剰で破天荒な、新しい王道
THE ORAL CIGARETTES『Enchant』
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