貫禄の3枚目

マキシモ・パーク『クイックン・ザ・ハート』
2009年05月02日発売
ALBUM
マキシモ・パーク クイックン・ザ・ハート
1stで確立したレトロシック・ポップ、2ndで見せたダイナミック・ロックに続き、この3rdは、さらにその地平を押し広げたような野心作。マキシモらしいアート性より、荒削りのムードが全体を覆っている。ラフだけれど性急さはなくbpmも平均的に下がっていて、ポールの声以外は、このバンドもすっかり成長したんだな、と思わされる。闇雲に新たなサウンドに挑戦しているわけではなく、ガレージよりのダークさを全体的に漂わせつつ、“イン・アナザー・ワールド”などは、マキシモらしさと直線的なダークなリズム・ギターが融け合った新境地ナンバーになっている。“レッツ・ゲット・クリニカル”も、彼らならではのポスト・パンク的ギターと、ハーモニーを効かせたサビのボーカル・パートが共存していて、相変わらず、知性を感じさせる。そしてこのバンドの要はじつはKeyだったりもするが、今回はよりクラウト・ロックだったりスペイシーだったりインディ・ポップだったり、間口が広がり、しかし主張しすぎずそこはかとなく装飾を加えている。この思慮深い3rdをVoポール・スミスはどう表現するのか、フジ・ロックが楽しみ。(羽鳥麻美)
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