サイモン・レイモンドといえば、80年代のコクトー・ツインズの音楽的充実に強く貢献したメンバーであり、また、ロビン・ガスリーとともにベラ・ユニオンを創設し多くの個性的なアーティストを世に紹介してきたひとでもある。彼がたどってきた音楽的キャリアの振れ幅は広いが、幽玄なサイケデリアがいつもそのそばにあったように思う。
ロスト・ホライズンズはレイモンドがジーザス&メリー・チェインの活動で知られるリチャード・トーマスと結成したプロジェクトで、これは2作目。
縁のあるシンガーを各曲でゲストに招く形を採っているが、この甘美なメランコリーをまとったドリーム・ポップ、サイケデック・ポップのコレクションは見事に統一されたムードを醸している。サウンド・デザインは洗練されていて、優しい愛撫のように艶やかに響いている。(木津毅)
ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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