フリーキーなジャズと緻密なポストロックと倦怠混じりのヒップホップが秒刻みでせめぎ合い異境のワールド・ミュージックを奏でていくような、一度聴いたら離れようのない音風景。英語と日本語を行き来しながら、不安と焦燥に満ちたラップを丹念にトラックと編み合わせていく、音と言葉の深淵――京都出身・シカゴ在住の日本人アーティスト=Sen Morimotoのデビュー・アルバムとなる今作には、「ハイパーな揺らぎ」とでも言うべき唯一無二のスリルが高純度で凝縮されている。サックスやピアノを操りつつ、音とビートの精緻なモワレ模様を構築する音像は、聴く者の交感神経を痛快にかき混ぜる不穏な緊迫感とアンニュイな包容力に満ちている。密室的なフロアも屋外の開放感も包んでくれそうな、全方位的な白い闇。これからもこのアーティストから目が離せそうにない。(高橋智樹)
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セン・モリモト『キャノンボール!』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」8月号に掲載中です。
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