Mrs. GREEN APPLEの「フェーズ3」2作目となる配信シングル曲は、NHK連続テレビ小説『風、薫る』の主題歌として書き下ろされた“風と町”。《風が誘う/この町は/私と誰かを愛で繋いで/泣きたくなる日がある事も/風はただ知っている》──半年間にわたって僕らの夜明けと向き合い続けるという壮大な(なおかつ僕らの想像よりも遥かにシビアな)ミッションに対して、Mrs. GREEN APPLEは哀しくも愛しい人間の生き様すべてを抱き締める福音の如き歌と言葉とサウンドスケープを描き出してみせた。晴れやかな朝の開放感にも夜の拭えぬ孤独にも寄り添うリズムワーク然り、シンフォニーとフィドルの間を行き来するストリングス然り、前作“lulu.”に続き兼松衆&大森元貴の共同編曲による精緻なアンサンブルも秀逸だが、何より《私は奇跡の愛で生まれて/思い返す 大切な日々を/風はただ知っている》と不屈の運命を弾むように紡ぐ大森の歌声に、ポップアーティストとして生きる者の矜持と覚悟が滲んでいて、思わず胸が震える。(高橋智樹)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年6月号より)『ROCKIN'ON JAPAN』6月号のご購入はこちら