「永遠」の在り処を指し示す歌

吉澤嘉代子『ミューズ』
吉澤嘉代子 ミューズ
選び抜かれた言葉と麗しのメロディで主人公の「物語」を描き上げる、という吉澤嘉代子の独特のソングライティングが、それでも僕らの感情を震わせてやまないのは取りも直さず、曲ごとに世代もシチュエーションも多様な主人公を見つめる吉澤の視線とそれを描く筆致に、時代と、世界と対峙する彼女の切実な想いが滲んでいるからだ。彼女自身を歌う音楽では決してないが、「何を」歌うかではなく「どう」歌うかという点に、彼女のアイデンティティは確かに宿っている。大きな話題を集めた前作『残ってる』に続く3rdシングル表題曲“ミューズ”は、《かがやきは傷の数だけ》、《戦ってる貴方はうつくしい》というフレーズに大切な友人を讃える気持ちを託すことで、「物語」とは一線を画した手触りと体温を宿しているのが印象深い。そして、《魔法は永遠じゃない 大切なとき思い出せない でも/言葉は永遠だって 何も変わらず 生きているって》の一節は、シンガーソングライターとして日々磨き続ける「言葉」こそが自らの最大の魔法である――という悟りと決意の宣誓そのもののように深く胸に響いてくる。(高橋智樹)
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