50年驚かせ続けることの凄味

スパークス『ヒポポタマス』
発売中
スパークス ヒポポタマス
今年でハーフネルソン名義だった初のバンド結成から50年目を迎えたスパークスの新作。通算22枚目で、平均してほぼ2年に1枚リースし続けてきたという事実もすごいことだが、その間、まったくぶれることなく、ポップ、ロック、アートのそれぞれの境界をせめぎ合わせながら、最終的にすべての作品について純然なポップ・アルバムとして仕上げてきたことだけでもすさまじい達成だと言わざるを得ない。

今作でもその魅力とスタイルはあまりにも健在で、ロン・メイルのポップでありつつ非常に古典的なキーボードとアレンジ、そしてラッセル・メイルのどこまでも抒情的でかつ饒舌なボーカルとメロディがめくるめく形で次から次へと披露される内容となっていて、ただもうすごい。もちろん、やみくもに長くやっているからすごいということではなく、ここまで完成度の高い楽曲の数々を現在まで作り続けてきたこと自体が驚異的なのだ。実際問題として今でも、聴きやすさと捻りに満ちた楽曲と音の構成で聴き手を引き込みつつ、意表を突くとろや歌詞の展開で驚かせる新鮮さがまるで変わっていなくて、そこがひたすら見事。(高見展)
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