今年は結成30周年。出世作『ボーイ・ネームド・グー〜グーという名の少年』から21年というタイミングだ。これは3年ぶりの11作目。前作後にドラムのマイク・マリニンが脱退したので、メンバーはジョン・レズニック(Vo、G)とロビー・テイキャック(Vo、B)の2人だけになった。
とはいってもそこは百戦錬磨の彼らのこと、サウンド面でそうした欠落感のようなものはまったく感じられない。それどころかサウンド・プロダクションの充実度と楽曲の出来映えは過去最高と言っていいのではないか。録音のバランスがよく、骨太で温かみのあるサウンドは音量を上げてもうるさくない。2人だけになってしまったメンバーを補うようにさまざまなゲスト・ミュージシャンやプロデューサーが登場し、バンド作品というよりはグー・グー・ドールズという名のプロジェクトのような趣だが、バンドの空気感がリアルに伝わってくるし、まとまりもいい。これまで以上にポップ度を増した楽曲が充実したサウンドによく映える。実際、この吹っ切れたような突き抜け方はかなり爽快で、つい何度もリピートして聴いてしまう。中毒度はかなり高い充実作。(小野島大)
光陰矢のごとし。だが古びない
グー・グー・ドールズ『ボクシーズ』
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