歌いにくいことも歌えるバンド

ココロオークション『ヘッドフォンミュージック』
2014年10月08日発売
MINI ALBUM
ココロオークション ヘッドフォンミュージック
今年4月に初の全国流通盤『七色のダイス』をリリースし、収録曲“ナゾノクサ”と“蝉時雨”のビデオはそれぞれ10万PVを越えている関西出身バンドの、半年と間を置かずに放たれるミニアルバム。スコーンと風通しの良いギター・ポップ・サウンドと、粟子真行(Vo・G)の心地良く耳をくすぐる美声が手を取り合う。7月初旬のライヴをもって結成以来のギタリスト1名が脱退し、現在は3ピース+サポートという編成でライヴを行っている。本作の最後に収録された“夏の幻”は、一聴するとラヴ・ソングのようだが、存在感の余韻がなびく詩情はバンドの足跡と重なって味わい深い。
一方、オープニングを飾る“ヘッドフォントリガー”はと言えば、持ち歩く音楽こそが武器であると高らかに宣言するような痛快極まりない疾走ナンバー。音と声で一気に情景を塗り替えてしまうココロオークションの作風を、率直に伝えている。また、《NOとは言えないから自分に嘘をついて/ただの歯車になる》とドライな達観で駆け抜ける“迷子のクロム”は、彼らのタフな覚悟をのぞかせるようでこちらも興味深い。 (小池宏和)
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