『アメリカン・イディオット』のミュージカルを観た
2013.08.08 14:20
昨日、ミュージカル『アメリカン・イディオット』の日本公演の初日に行ってきたのだが、いやあ、予想以上に歌って踊るグリーン・デイは楽しかった。
正直、観るまでなにを期待していいのかわからなかったのだが、あのアルバムの歌と曲だけではなく、あの名作のスピリット、あの名作の重み、あの名作の素晴らしさが、すべて舞台で実現されているのである。
8月号の記事で書いたが、初めてグリーン・デイのメンバーがミュージカル『アメリカン・イディオット』の役者による読み合わせを見学した際、3人とも「頬には涙がつたっていた」らしいが、めちゃくちゃ納得。
『アメリカン・イディオット』はミュージカルという表現形態に実にマッチする作品なのである。
もちろん、それは曲の良さもあり、女性が歌っても、10人以上のキャストがアンサンブルになって合唱しても、ビリー・ジョー・アームストロングの書く曲がどれもポップなミュージカル・ナンバーとして成立するのがまずすごい。
でも、それよりかやはり、9・11以降のアメリカ、とその背景に政治的なニュアンスがあるとはいえ、基本、そこを生き抜く若者にフォーカスを当てたコンセプトがミュージカル映えするのだ。
主人公ジョニーとその友人にフォーカスが当てられているのだが、それはまさに青春群像劇として楽しめるのである。
ミュージカル自体もさすがトニー賞を受賞しているだけに、かなり手が込んでいて、昨日は初回ということで何回か音声トラブルはあったとはいえ、ライヴ・バンドの演奏の前で、演者たちが踊って歌うだけではなく、空を舞ったりしているのは観て飽きることない。
最後、アンコールで演者たち全員がアコギを持って“タイム・オブ・ユア・ライフ”を合唱していたのもナイス。
こんな形で、優れたロック・アルバムを体感できる機会は滅多にないので、是非、ファンは観て欲しい。
確かにチケットはライヴよりやや高額だが、昨日見た限りでは、親子連れも多かったし、もしミュージカル/舞台好きの親や親戚がいたら説得して一緒に観に行くのも手かも。
年配のお客さんもかなり楽しんでいる様子だったんで。(内田亮)
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