現在発売中のロッキング・オン12月号では、U2のライブレポートを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=中村明美
前代未聞、23億ドル(約3400億円)で建築された世界最新技術の新会場スフィアのこけらおとし公演『U2:UV Achtung Baby Live at Sphere』をU2が、9月29日に開始した。ラスベガスにあるこの会場で2月18日まで36公演行われるこのレジデンシーの2日目となる9月30日のライブを観ることができた。これは、想像を遥に超えた、U2がロックコンサートに再び革命を起こす、これまでにない未曾有の体験、としか言いようがないライブとなった。
始まってまず驚愕したのは、3曲目の“リアル・シング”。『アクトン・ベイビー』30周年記念でもあるこのツアーで、ボノはオルターエゴの“ザ・フライ”のサングラスで出て来るのだが、その背景にはAIのエルヴィス・プレスリーと、ラスベガスと、アメリカンドリームと、消費社会が衝突したような壮大なサイケデリック映像が広がるのだ。
ボノは「エルヴィス・チャペル」と言ったが、永遠に続く嘘と真実が入り混じったような巨大な万華鏡の中に入り込んだ気分になり、早速圧倒される。その中で、今目の前で演奏しているリアルなバンドがシャボン玉の中に入ったように映し出され、ふわふわと浮遊している。それは、間違いなく未来のロックンロール空間へ入り込んだような瞬間だった。
キャパ2万人のこの新会場スフィアの何が世界最新技術かと言ったらまず映像だ。建物は高さ112メートルx幅157メートルで球形建築物の中で世界最大。外壁は5万4000平方メートルで4KのLEDスクリーン。会場内は1万5000平方メートルで、16K×16K、2億6843万5456ピクセルの世界最大かつ世界最高画質のLEDスクリーンなのだ。
またサウンドは、ライブ中盤でボノが、ボブ・ディランに敬意を表し“ラヴ・レスキュー・ミー”を演奏したのだが、「このささやき声を一番上の席の人にも聴いてもらうために、23億ドルもかかったんだ」と言っていた。スピーカーはどこにも見えないが、16万4000個も内蔵されている。しかも“波面合成技術”で、どの席にも同様にクリアなサウンドが届けられる。大事なことは、この世界最新技術の会場でU2以上にこけら落しをするのが完璧だと思えるバンドはいないこと。(以下、本誌記事へ続く)
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