ビリー・アイリッシュの新作が遂に発売。ビリーも登場、「超ナーバス!」と言っていたNYのリスニング・パーティに行った。

ビリー・アイリッシュの新作が遂に発売。ビリーも登場、「超ナーバス!」と言っていたNYのリスニング・パーティに行った。 - pic by PETROS STUDIOpic by PETROS STUDIO

ビリー・アイリッシュの3作目となる『HIT ME HARD AND SOFT』が遂に発売された。週末に聴きまくりましたか?
https://youtube.com/playlist?list=PLsCPTY_MPoPYKdrO_v930g19ElQI1XCgY&si=Bu5VDd55vJFI8ViL

NYでは、発売直前の5月15日に、ブルックリンのバークレイ・センター(キャパ約18000人)で世界最速のアルバムリスニングパーティが行われた。ビリーとフィニアスも登場。また、翌日16日には全米の映画館で視聴会が行われた。その両方に行って来たので、そこでビリー達が語っていたこと。ファンの反応などを簡単にまとめたい。

ビリー・アイリッシュの新作が遂に発売。ビリーも登場、「超ナーバス!」と言っていたNYのリスニング・パーティに行った。 - pic by SHERVIN LAINEZpic by SHERVIN LAINEZ

1)リスニング・パーティ

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ビリー・アイリッシュの新作が遂に発売。ビリーも登場、「超ナーバス!」と言っていたNYのリスニング・パーティに行った。 - pic by AKEMI NAKAMURApic by AKEMI NAKAMURA

ここに集まったファンは世界最速でアルバムを聴けたため、みんな大興奮。チケットは無料だけど、応募して当選した人たちだけが入場可。当日は雨模様にも拘らず、早くからファンが集まり、開場すると大歓声だった。グッズ売場もすぐに長蛇の列ができていた。ジャケットが巨大サイズに再現されていて、そこでファンは写真が撮れたり、グッズを買った人やAmexのカードを持っている人にはミニポスターが配布された。
ビリー・アイリッシュの新作が遂に発売。ビリーも登場、「超ナーバス!」と言っていたNYのリスニング・パーティに行った。 - pic by AKEMI NAKAMURApic by AKEMI NAKAMURA
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会場内は、アルバムのイメージ同様のブルーの照明が付いていて、ビリーが座れるように、ラウンジのセットも設置されていた。
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ビリーは大歓声の中で登場し、「みんな元気?私は、今おしっこもらしそうだよ(笑)。何か聴きたい?」と語るとファンは大絶叫。
「これからアルバムを初めから終わりまでかけるから。途中で止めたりしないし、何も話さないように頑張る。でも本当に超ナーバス。みんなアルバム全部聴きたい? じゃあ再生ボタンを押すよ。聴いて!」と言って視聴会が開始した。
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ビリーは、フロア全体で踊ったり、走ったり、ファンと握手したり、動き回りながら、新作のサウンドを全身で浴びながら、それをファンと遂に共有できる喜びで溢れていた。面白かったのは、フィニアスがずっとビリーを撮影していたこと。あの映像はこれから何かの形で公開されるのだろうか?
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アルバムは、まず1曲目”SKINNY”が美しいストリングスで終わったと思ったら、2曲目”LUNCH”の始まりでは打って変わって、クラブビートが流れ出したのでみんな踊り出した。その繋がり方が美しくて、アルバムを通して聴いて欲しいと言っていた理由がまず分かった。

3曲目の”CHIHIRO”の「扉を開けて」と歌うフレーズは、すでに公開されいたので早速大合唱。この日楽しかったのは、ビリーが先に世界各国に貼り出していたフレーズが曲の中でどのように歌われているのか確認できたことだ。この曲は、サウンドも、彼女の心の深いところにある扉を次々に開けていくように、思いもしない展開でどんどん進化していったから興味深かった。
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ちなみにこの曲は、彼女がジブリ映画の中で一番好きと言っていた『千と千尋の神隠し』(2001年)から付けたタイトルだ。それについてローリング・ストーン誌で語っていた。
「あの映画のビジュアルは史上最高のひとつと言えると思う。スタジオジブリの映画は全部マジで信じられない」

この日一番盛り上がっていた曲は、6曲目の”The Greatest”。サウンド的にも壮大な曲だし、ビリーの感情が最も炸裂したような曲だ。

ビリーは終わったら、「ファッキング・バーイ! またツアーで帰ってくるよ!」と叫んで彼女らしくサラッと去って行った。アルバムの長さも短いし、あっと言う間に終わってしまったけど、本人と一緒に新作が聴けるなんて。あまりに贅沢な企画で、ものすごい熱気の中観客は会場を後にした。


2)映画館で視聴会。

前日のリスニング・パーティに参加したファンが、会場で売られていたTシャツを着てやって来た劇場視聴会。これは有料で1人5ドルだった。
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視聴会が始まる前にビリーからのメッセージが流れた。

「これからみんなに私の新作『HIT ME HARD AND SOFT』を聴いてもらうけど。ドルビー・アトモスの特別なサウンドで最高だから、みんなも絶対気に入ってくれると思う。携帯を出して、映像を撮っても、写真を撮っても、叫んでも、大声出しても、泣いても、踊っても、思い切り好きにしてくれて良いよ。ここにはルールはないから。みんなのこと大好き。めちゃくちゃ楽しみで、超ナーバスでもあるけど。みんなが楽しんでくれればいいなと思ってる」。

この試聴会では歌詞がスクリーンに映し出されたこともあり、歌詞をみんなじっくりと読みながら聴いているのがよく分かった。

とりわけ盛り上がったのは、まずビリーのセクシャリティについて歌われた”LUNCH”。
公式MVも解禁されている。

《あの子をランチで食べたい》と歌ったところで、会場がキャーキャー。
この曲は、この夏クィアのアンセムになる予感だ。
さらに、
《I don’t wanna break it, just want it to bend/Do you know how to bend?》という箇所でも大盛り上がり。
これは、《規則は破りたくはない。ただ曲げたいだけ。どうやって曲げればいいか知ってる?》と自分がバイセクシャルになっても良いかと言っている意味もあり、同時に自分のパートナーに肉体的に体を曲げられるか聞いている二重の意味がある。

また、歌詞で一番盛り上がったのは、なんと言っても、”L’AMOUR DE MA VIE”。

彼氏との恋愛の駆け引きや、裏切り、破局などが歌われている。みんながその顛末を一字一句息を飲んで見つめているのが伝わってきた。
例えば、《あなたに告白しなくちゃいけないことがある。嘘を付いていたこと》という歌詞のところで、みんなが一体どんな嘘?と思っているのが伝わってきたほど。
《あなたが運命の人だって言ったこと》と出たら、会場が「マジかよ!」とまず大盛り上がり(笑)。

そして、この歌詞で彼氏がいかにビリーを傷付けたのかが歌われているので、みんなおそらく最悪だこの男と思ったところで、

《私と別れてはっきりしたでしょ。
私が、あなたの運命の人だったって。
でも、あなたは私の運命の人じゃないから》ってところで、まるで復讐が完了したかのような、大喝采となった。

曲として一番盛り上がっていたのは、ここでも”THE GREATEST”だった。

アルバムの再生が終わると、ビリーとフィニアスのインタビュー映像も流れた。


ここで語っていたことは、
ビリーは「このアルバムは、これまでの作品で最も自分が表現できた。本当に純粋に自分が出せた」。彼女のセクシャリティとも関係していると思う。
フィニアスは「これまでずっと作りたいと思っていたアルバムがとうとうできた」、「フィオナ・アップルがインタビューで、『自分の中にもう何も残ってないと思えたら、そこでアルバムは完成』と言っていたけど、今作が完成した時、そう思えた」と言っていたのが印象的だった。

以下要約。

フィニアス「このアルバムの制作はすごく過酷だった。すごく深いところまで掘ろうとしたから」

ビリー「今回の制作で良かったのは、そろそろ作ったら、と人に言われる前に作り始めたこと。フィニアスが意識的に決めてくれたことだったんだけど、その方が、プレッシャーもなく、クリティブな意味で自由に作れる」

フィニアス「1週間に3日会って、どうなるかみてみようと思った。本当にほぼ完成と思えるまで締め切りも設定しなかった。だから、すごくリラックスしたスケジュールで作り続けた。それである日、『これで完成だ』と思えたんだ」

ビリー「それと基本的には、曲を作り始めたらそれを完成させてから次の曲に取り掛かった。だから完成した頃には、曲によっては1年前のものだったり、1ヶ月前にできたものもあった。全部同時に作ったと思うかもしれないけど、ひとつずつ作っていったから、それぞれがすごく違って、それで苛立つこともあれば、良かったこともあった。これまではそういう作り方をしたことがなかったから、今回は慣れてないやり方で作ろうとした。これもフィニアスのアイディアで、すごく感謝している。スタジオに来て、アイディアが浮かんで作り始めて、煮詰まったらその瞬間に、次の曲を作り始めた。クリエイティブなエネルギーが少しでも下がったら、その曲はそのままにして、次の曲に取り掛かった」

フィニアス「(その曲に戻った時にビリーの心境が変わっていたらどうするのか?)その通りなんだけど、3週間後にその曲に戻って彼女が面白いと思えないような曲だったら作らない方がいいってことだから。今回のアルバムの目標は、笑えることができた方が、さらにシリアスにもなれるってこと。常にシリアスでありすぎると、自分にも響かなくなる」

ビリー「ドン引きするようなことを受け入れらるようなったら、もっと幸せになれるってよく言うしね」

フィニアス「フィオナ・アップルのインタビューを数年前に見たんだけど、そこで彼女が、『自分の中にもう何も残ってないと思えたら、そこでアルバムは完成』と言っていた。これが完成した時に、本当にそう思えた。完成して5ヶ月経つけど、自分たちの持ってるものは全て出し尽くしたと思える。このアルバムは、これまでもずっと作ろうしていたアルバムなんだ」

また、ひとつ大事なことは、ビリーはもともとそうだけど、今回の新作発表に関してもエコについてこれまで以上に熱心に呼びかけていること。

例えば、ライブの会場に来る際にどれだけの公共交通機関を使えるのか、ビリーからだけではなくて、会場からのお知らせにも目立つように記載されていた。

また公式のウェブサイトもそうだ。
https://store.billieeilish.com/pages/sustainability
アナログ盤からTシャツから、いかに資源の再利用が行われているのか全ての商品に関して目立つように記載されている。

さらにビリーは世界ツアーを発表したけど、最近チケットが高騰しすぎて困っているファンのために、定価で買いやすいように、ライブに行けなくなった人は、公式サイトから定価でのみ転売できるようなシステムを導入している。

彼女はエコについてはずっと活動してきたけど、今回政府にダフ屋を規制するように訴えている。それをツアーでも可能な方法で実践していると言うわけだ。さすが。

世界ツアーは、9月から開始し、来年の7月まで決定している。アジアツアーは、発表されていないけど、なんとか来日して欲しい!



ビリー・アイリッシュの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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