4月23日に公開される『ブルー・ヴァレンタイン』のサントラが素晴らしい。
ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムという“テッパン”の若手ふたりが主演する本作、逆純愛映画というか、特に理由もなく朽ちていく愛の幻想が、容赦なく痛切に描かれている素晴らしい作品なのだが、作品全体に漂うメランコリアを助長しているのが、グリズリー・ベアの音楽。
実は、グリズリー・ベアの音楽に惚れ込んでいた監督/共同脚本のデレク・シアンフランスは製作が開始する前からバンドにオリジナル・スコアをかき下ろしてもらうようにアプローチしていて、バンド側もそれを快く許諾していたのだが、実際に製作に入る段階になったらどうしてもスケジュールが合わず、泣く泣く両サイドはその案を放棄することになったらしい。
とはいえ、やっぱりグリズリー・ベアの音楽が使いたい監督、そして映画に音楽を提供したいグリズリー・ベアという両者の思いがあり、その妥協点として、グリズリー・ベアが“激安価格”で既存の曲を映画に提供したとのこと。しかも歌を取ったインスト版など、これまでリリースされていないバージョンが使われていたりする。
結果、映画のために書かれたスコアじゃないにせよ、グリズリー・ベアー特有の憂いを帯びた旋律は、映画を貫く感傷を引き立たせるのにピッタシ。本当に素晴らしいサントラだと思う。
CDも発売されているので、映画に興味ある方は観る前に是非。
さらに、これまで『エンター・ザ・ボイド』や『スコット・ピルグリム vs. 邪悪の元カレ軍団』のオープニング・クレジットについて触れてきたけど、グリズリー・ベアの“アリゲーター”が流れる本作のエンドロールは、稀に観るほど秀逸な出来。泣けます。(内田亮)