フランツ・フェルディナンドやレッド・ホット・チリ・ペッパーズは投獄されているロシアのパンク・ユニット、プッシー・ライオットへの支援を呼びかけている。
プッシー・ライオットのマリア・アレキナ、ナデズダ・トロコニコヴァ、エカテリーナ・サムチェヴィッチは現プーチン大統領政権への反対デモを3月にパンク・ロック・ライヴとして行って騒乱罪で拘留されていて、7月20日に行われた判決によると来年の1月12日にまで3人は身柄を拘留されるという。
7月22日にモスクワで行われたアフィーシャ・ピクニック・フェスティヴァルに出演したフランツ・フェルディナンドのアレックス・カプラノスは"ディス・ファイアー"の演奏に入る前に「この曲はプッシー・ライオットに捧げます。思ってることを口にしたばっかり監獄行きになってしまったようなアーティスト全員に捧げるよ」と語ったと『ザ・ガーディアン』紙が伝えている。
さらにアレックスは次のようにツイッターで訴えている。「たとえプッシー・ライオットのファンじゃなかったとしても、投獄された3人への支援をお願いします。自分の意見を表現する自由についてはきっとみんなも当然だと思っているはずだから。ザ・ビートルズやジョン・レノンのファンだと自称している国家の指導者が、自分たちの政治観を表現した現代のミュージシャンを投獄しようとするのなら、その人物は最悪な偽善者だということになるし、それもすごく危険な偽善者ということになるのだから」
その一方でモスクワのルズニキ・スタジアムでライヴを行ったレッド・ホット・チリ・ペッパーズのアンソニー・キーディスとフリーもライヴ中にメッセージを口にした。アンソニーはプッシー・ライオットのTシャツを着て、ライヴに駆けつけていたメンバーの夫にふたりからの手紙を託したが、その内容は「ナージャとカーチャとマーシャへ、俺たちはきみたちを愛しているよ。きみたちへの支援だってぜひやらせてもらいたい。できることはなんでもするよ」というものだったという。
プッシー・ライオットは3月にロシア正教会のプーチン支持への抗議として3月にモスクワのキリスト救世教会で即興ライヴを行い、そこで"Holy Shit"という曲を歌ったという。その後の大統領選挙でプーチンは大統領に返り咲いているが、出馬したほかの候補者からは選挙が不正なものだったという声が上がっている。
また、逮捕の直前にプッシー・ライオットは『NME』との取材にも応じていて、自分たちの教会抗議ライヴへのプーチンの対応は「大人げない」と語っていた。「自分たちにも今の政治的な動向はわかっていたけど、でも今ではプーチンのカフカ的な不条理システムが全開で迫っているのを肌で感じ取ることができるのね。この国の政策は、最小限の批判的な思考とその政策をよしとしない人たちをやり込めるということで成り立っているものなの」。
世界各地の政治犯の拘束を糾弾しているアムネスティ・インターナショナルも「良識ゆえの囚人」だとしてバンドのメンバーの釈放を訴えていて、メンバーの行った行為そのものよりも、その行為の「政治的な意味を過大に解釈して」罰していることを批判している。
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