ピート・タウンゼント自ら監修した『四重人格~ディレクターズ・カット』が11月16日にリリースされるザ・フーだが、ボーカルのロジャー・ダルトリーは近頃のバンドには本格的なリード・ボーカリストが欠けていると苦言を呈している。
ロジャーは現在の音楽シーンではパール・ジャムのエディ・ヴェダー、あるいはミック・ジャガー、ロッド・スチュワートに匹敵するボーカリストはいないと語っていて、その原因として昨今のテレビのオーディション番組人気を挙げている。
「最近の人たちはなにかというと『アメリカン・アイドル』とかああいうオーディション番組を踏み台にすることしか考えてなくて、ああいうのを観ててもリード・ボーカルって呼べるような歌は耳にしたことがないからね。いつも、すごく上手な歌い手やそつのない歌手が残るようなんだけど、とてつもないリード・ボーカルっていう歌がそういう連中にはないんだよ」
ただ、唯一例外となるのはアデルだとロジャーは語っていて、「あれは本物だね」と説明している。
さらにロジャーは今年の夏にソロとして行った『トミー』ツアーについて、今こそ聴かれるべきだと思ったと語っている。
「音楽作品としてどれだけ素晴らしいのかって再発見してね、これは聴かれるべきだと思ったんだよ。映画もまたよかったけど、あれはあれでケン・ラッセル監督の『トミー』の解釈だからね。劇場版もまた劇場版として素晴らしかったわけで、あれはピートとデス・マッカナフ(演出家)のふたりの解釈なんだ。でも、俺にとって一番重要なのはあの音楽であって、あまりにも素晴らしいから決して飽きることもないんだよ」
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