新年明けて1月4日の大阪。Saucy Dog初のドーム公演が京セラドームで行われた。記念すべき最初のドーム公演に大阪を選んだのには理由がある。Saucy Dogが結成されたのが大阪であり、ちょうど10年前、2016年に現メンバーでの初ライブを大阪のライブハウスで行っている。つまり、約10年で小さなライブハウスから3万5000人で満員になったドームまで成長した、いわば凱旋的な意味合いもあるライブだ。その思いを受け取ったファンでチケットはソールドアウト。「A NEW DAWN」と名付けられたこのライブは、文字通りバンドの新たな夜明けを感じさせる素晴らしいライブだった。
開演前の会場には、新幹線の到着音、足音、キャリーケースを引く音、駅の雑踏のSEが流れている。そしてカラスの鳴き声まで聞こえてくると、足音の主はどこかの住宅街を歩いていることを想像させる。やがて静かに客電が落ち、足音も止む。そして大きなスクリーンに映し出されたのは「実家」の両親が帰省した主人公を迎え入れる様子だった。久しぶりに入る自分の部屋。その机の上にあるのは懐かしのゲームボーイアドバンス。主人公がホームボタンを押すと「A NEW DAWN」の文字が浮かび上がる。「さいしょからはじめる」をセレクトすると、スクリーンには幼少期からの思い出の場面が次々と現れる。その懐かしくもくすぐったい過去たちがあって、だからこそ「今ここ」に至るのだという、そんなメッセージを感じさせる温かな演出だった。(以下、本誌記事に続く)
文=杉浦美恵 撮影=日吉"JP"純平、toya、山川哲矢
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年3月号より抜粋)
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