Vaundyが2曲の新曲を発表した。『replica』のブラッシュアップが現在進行形で行われてるというか。
これからは「ポップスとしての余裕」と「ものづくりの探究」のせめぎ合いみたいな曲がどんどん出てくる
まずは『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』の主題歌 “ホムンクルス”、そして幕張メッセでのライブで “GORILLA芝居” が初披露された。このインタビューではその2曲についてじっくりと語ってもらった。
まずは “ホムンクルス” に関して。
ロックなギターリフでハードに展開するシンプル&ストレートな曲に聴こえるが実は前半から後半へとあり得ないほど大胆な展開が仕組まれていること、そしてそれはVaundyの『ヒロアカ』への、映画の主題歌への思いや考え方の反映なのだということも明かされる。アニメや映画への思いは普通は歌詞やメロディに込められるものだが、楽曲の構造自体にそれを込めてしまうVaundyはやっぱり規格外だ。
そしてノンタイアップで生まれた新曲 “GORILLA芝居” は、“ホムンクルス”とは逆にナチュラルで本能的なグルーヴがひたすら気持ちよくループする曲。だが歌詞は、日常に潜むフェイクな構造をペロッとめくりあげて暴くような鋭さが光っている。
まったくタイプの違う2曲だが、実は共通しているポイントがある。それは「今の日本の音楽シーンにあるサウンドイディオムをいっさい使わずに、今にふさわしい新たなサウンドを作り上げている」ということ。それは大ヒットしている“タイムパラドックス”にも共通するポイントで、つまり最新アルバム『replica』で掲げた音楽論を完全に実践しているのだ。
その発想の大胆さ、実行力、そして作品のパワーと完成度とポップさ、すベてにおいてやはりVaundyはとてつもない存在だ。
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=太田好治
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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