ロッキング・オンが主催する新世代先取りイベントJAPAN’S NEXTから派生したサーキットイベント渋谷JACK。その第1回が行われたのは今年7月のこと。そして第2回となる渋谷JACK 2018 WINTERが12月9日に行われた。今回も早々にチケットはソールドアウト。日本のロックシーンのネクストブレイクをこの目で見極めんとする貪欲な早耳リスナーたちの注目度の高さをうかがわせる。

今回は「RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 18/19」の優勝アーティスト4組を含む全62組のアーティストが揃い、渋谷・円山町界隈の7つのライブハウスを舞台に、それぞれのパフォーマンスで勝負に出た。普段こうしたイベントで「勝負」という言葉を使うのは肩に力が入りすぎている気がしてあまり好きではないのだが、ことこの渋谷JACKに関しては「勝負」としか言いようのないガチの空気感が魅力のイベントである。

その気になれば1分以内に別の会場へ移動することも可能であり、1曲観て自分のアンテナに引っかからなければ、オーディエンスはいとも簡単にその場を去ってしまう。ゆえに、出演したどのアクトも与えられた持ち時間の中で、120%のパフォーマンスを繰り広げる。逆を言えば「このあと、別ステージで目当てのバンドが出るから途中で移動しよう」と冷静に計算している観客に、時間を忘れさせることができたならそのアーティストの「勝ち」なのだ（いや、勝ち負けがすべてではないけれど）。また、裏の人気アクトに観客が流れてしまい、オーディエンスの人数自体は少なくなってしまったものの、その悔しい思いがむしろエモーショナルな演奏を生むことだってある。そのヒリヒリした切迫感が、いつもと違うミラクルな時間を作ることも珍しくないのだ。

duoのトリを飾ったオメでたい頭でなによりは、サウンドチェックの時間をもアピールタイムとして存分に活用し、オーディエンスのハートをがっちり掴んだし、一方O-WESTのトリ、KOTORIも「神曲ばっかりやってくんで最後までよろしく！」と、まさに勝負曲満載で集中力MAXの演奏を見せつけた。O-EASTでトリを務めたのはgo!go!vanillasで、超満員のオーディエンスを前にさすがのライブ運びで圧倒した。最高のロックンロールバンドが見せる「今」を堪能する場所こそが「ライブ」であり、それは未来への予感そのものであることを感じさせてくれる。今回も様々なドラマを生んだ渋谷JACK。次回の開催をぜひ楽しみにしていてほしい。（杉浦美恵）