デヴィッド・ボウイが2000年に出演したグラストンベリー・フェスティバルでのライブ・パフォーマンスが、11月30日に『グラストンベリー 2000』として初めて完全版としてリリースされた。
『ロッキング・オン』2019年1月号では、当時音楽シーンから距離を置いていたボウイが、15万人の観衆を魅了したという同作品をより深く掘り上げるため、音楽評論家の大鷹俊一によるロング・テキストを掲載している。
ボウイによる2000年のグラストンベリーの映像は、これまで30分ほどの短縮版がテレビ放映されていたが、今回それが初めて完全版として、しかもCD、DVDという最良の形でリリースされた。
フジロックの手本ともなったグラストンベリーには、これまでにもザ・スミス、オアシス、ザ・ローリング・ストーンズといった名だたるアーティストたちが伝説的なパフォーマンスを残している。
そんな名演が繰り返されてきた同フェスの主催者、マイケル・イーヴィスは「私にとってはあれ(00年のボウイ)がグラストンベリーの最高の瞬間だ」と述べるほどで、この時のパフォーマンスがいかに歴史的なものだったかを物語っている。
ボウイは、同フェス自体が始まって2回目となる1971年に一度出演しているが、この時のことを以下のように振り返っている。
私は以前グラストンベリーに一度だけ出たことがある。あれは1971年のことだった。
(中略)とてつもなく才能に恵まれたテリー・リード、リンダ・ルイスといった人たちと一緒にアルコールを楽しみ、煙を吹かしていた。(中略)あのころは終演時刻というものがなかったので、私は大部分が眠りについている観客に向けて演奏した。そうしてぎこちなく9曲ほど歌うあいだ、観客は親切にも目を覚まし、ずいぶんと励ましてくれた。
(中略)私よりもさらにラリったオランダ人の女の子がいて、ステージに上がりたいと粘っていた。私と一緒にステージに立ち“ユー・プリティ・シングス”(当時はまるで知られていなかった曲だ)をデュエットしたいと言い張ってきかなかった。
全体としてみれば、嬉しいくらい陽気でバカバカしい2日間だった。何もかもがトールキン(『指輪物語』の作者)っぽく、マッシュルームや「オレンジ」(ドラッグ)があふれていた。
そんな淡い思い出もある同フェスに再び出演したボウイは、“野性の息吹き”、“フェイム”、“世界を売った男”、“ステイション・トゥ・ステイション”、“スターマン”とステージでファンの誰もが一度は妄想したであろう大ヒット満載のセットリストで大観衆を多いに沸かせたのだった。
ボウイがなぜヒットパレードともいえるセットを、2000年当時、しかもグラストンベリーという場で披露したのか、『ロッキング・オン』1月号に掲載の同テキストで、その答えを確かめてほしい。
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