7月27日から29日の3日間にわたり新潟県苗場スキー場で開催された「FUJI ROCK FESTIVAL '18」、そして8月18日・19日に東京と大阪では「SUMMER SONIC 2018」が行われ、今年も国内外問わず、数多くのアーティストたちが出演した。
『ロッキング・オン』10月号では、8月17日に行われた「SONICMANIA」も含め、今年も熱狂の内に幕を閉じたフジロック、サマソニの模様を写真とレポートで振り返った特集記事を掲載している。
ここでは、特集記事より両フェスに足を運んだ『ロッキング・オン』編集長の山崎洋一郎、音楽ライターの粉川しの、高見展、小池宏和の4人が今年のフジロック、サマソニを語り尽くした対談の模様を一部抜粋して掲載する。
「FUJI ROCK FESTIVAL '18」
山崎(以下、山)「凄くありきたりな分析というか印象になっちゃうんだけど、3日間の内2日間のトリがほぼヒップホップ、R&B勢がメインだったのが凄く画期的だなぁ、っていう」
粉川(以下、粉)「もし例年のようなラインナップでボブ・ディランが来たら今回みたいな感動って生まれなかったんじゃないですかね。ケンドリックと同じ年に出たことで、両者の対比であり、同時に脈々と続く流れでもあるというのがビビッドに感じられて。今おっしゃったように、適時性をフジにしては珍しいほど突き詰めた年だったからこそ、ある意味フジらしいアクトであるボブ・ディランを全く新しい文脈で観られたっていうか」
(中略)
高見(以下、高)「N.E.R.Dは新作の文脈があの3人に全く新しいモチベーションを与えているのがよく分かるライブだった。軸になるのはやっぱり最盛期の頃の楽曲だけど、もう一回バンドとして帰ってきたんだな、っていうのが分かる大凱旋コンサートみたいな感じで。ドラマを感じました」
(中略)
山「(中略)次は2日目いきますか。まぁこの日はなんと言ってもケンドリック・ラマーでしょう」
小「間違いないです」
粉「カッコ良かったです。あのパフォーマンスは日本向けにローカライズされてたんですか?」
高「いや、あまりされてないと思う。『ダム』ツアーがこれの直前に終わって、で、最後のパフォーマンス。ツアーの本当に締めくくりみたいな。しかもバンドすら見せずに、彼が1人でパフォーマンスをする。ヒップホップの非常に重要なメッセージもあるんだけど、徹頭徹尾ショーに徹したライブで。ジェイ・Zとかビヨンセなんかとは別なアプローチでもの凄くアーティスティックでかつエンターテインメントっていう所があって、画期的でしたね」
「SUMMER SONIC 2018」、「SONICMANIA」
※「SUMMER SONIC 2018」は東京会場の情報となります山「(中略)マイブラはどうでした?」
粉「まったく変わらなかった。新曲を1曲やってたんですけど、やってたと『思う』ってくらい馴染んでて。何なんですかね、あの頑なさは」
山「マイブラのスタイルや思想に、メンバーもファンも忠誠の誓いを立ててるっていうか」
粉「それを知らずに入ってきた若い子たちが、10秒くらいで『何これ!? 耳がいたーい』って逃げ出していく」
山「あれは、道に入ったものの修行だからね(笑)」
(中略)
山「(中略)さあ、粉川さん、ノエルはどうでしたか!?」
粉「完全に新作(『フー・ビルト・ザ・ムーン?』)バンドでしたね。もちろんゲム、クリスの元オアシス組は今回もいるんですけど、女の子のメンバーが二人入って、プラス、女性ゲスト・ボーカルっていう布陣で、そこでノエルが、ロックンロール・ギタリストとしてじゃなく、バンマスとして、『フー・ビルト・ザ・ムーン?』の世界をビルディングしていたっていう。ちなみにショウの前にやったインタビューでノエルがちょうどアシッド・ハウスの話をしてたんですけど、1曲目の“フォート・ノックス”で、ノエルと黒人女性ボーカルが並んで歌うのを観て、これハッピー・マンデーズ!? みたいな」
(中略)
山「そして、やっぱり圧倒的だったのが、チャンス・ザ・ラッパー!」
粉「とんでもなかったですね!」
(中略)
高「完全にゴスペル・ショーだった。彼はCDも出してないでしょ、全部配信。それは、新しい世代としてやっているわけではなく、彼のすべてがコミュニティ・ベースだからなんです。みんなが聴ける配信で活動して、何かというと福祉関係のチャリティーをやる。歌もみんなが高揚する、ヒップホップなんだけどマジな、ストレートなメッセージが多くて」
(中略)
小「『俺は音楽に救われたことがある、お前はどうなんだ』っていうことを語り掛けるためのセットリストでしたよね。最初の3曲、“ミックステープ”は、俺は今でもミックステープやってるって曲で、次の“ブレッシングス”でゴスペルが立ち上がってきて、救済の匂いがするんです。そして“エンジェルズ”はオーディエンスのことも込めている歌。これを一気にやって、物語がはじまった」
記事ではこの他、ヴァンパイア・ウィークエンド、チャーチズ、ベック、マシュメロなど、両フェスの出演アーティストのステージの模様を臨場感溢れるレビューと共に紹介。2018年のフジロック、サマソニの全記録を記した、まさに永久保存版の特集となっている。
実際フェスに足を運んだ人も、運べなかった人も、ぜひ『ロッキング・オン』10月号にて今年の2大フェスで起こったすべてを確認してほしい。
フジロック&サマソニ特集は現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。
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