【スクリレックス編】フジロックまであとわずか! 出演アーティストたちの見どころをもう一度おさらい

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第1弾ラインナップで出演が報じられたスクリレックス。2013年の初日ホワイト・ステージで、レトロ・フューチャーな宇宙戦闘機型ステージ・セットの中から、狂気スレスレのダンス・サウンドを撒き散らしていたのが忘れられない。当時はまだ現状唯一のアルバム『リセス』もリリースされていなかったし、ディプロとのタッグでポップ・シーンを席巻することになるジャックÜのプロジェクトも始動したばかりだった。しかし、暴風のごときハードコアなエレクトロ・サウンドでグラミー賞を勝ち取り、初日ホワイトのトリという大抜擢に見事応えてみせたのだ。

その後、ULTRA JAPAN 2015や自身のレーベルOWSLAの企画で来日しているが、今日のスクリレックスはポップ・ミュージックのプロデューサーとして、裏方仕事に軸足を置いているところがある。情緒的なトラップ・ソングを幾つか手がけ、現在はビデオ・ゲームを題材にしたディズニー映画『Wreck-It Ralph』(邦題:『シュガー・ラッシュ』)続編のサントラ仕事に従事している最中といったところだ。もちろん、ひとたびステージに上がれば猛烈な勢いでダブステップ/トラップ・ビートとピッチ・ベンドしたサウンドが飛び交う凄まじいパフォーマンスを見せてくれるわけだが、かつてのように音源リリースから破天荒なライブを想起するのが難しい、という現実は残念ながらある。流行り廃りのスピードが速いダンス・ミュージック・シーンにおいて、湿り気を帯びたエモーションの表出がトレンドとなっている現状と、凶暴なオタク気質をむき出しにするスクリレックスのスタイルは、少なくとも音源リリースというレベルでは剥離してしまっているのだ。本人もきっとやきもきしながら、慎重にならざるを得ないというところなのだろう。

しかし、ケンドリック・ラマー“ハンブル”のリミックスを例に挙げるまでもなく、裏方としてシーンを見つめ続けるスクリレックスの圧倒的な記名性の高さは健在だ。現行EDMからヒップホップ、オルタナ・ロック、ダンス・クラシックまでをジェットコースターのように駆け抜けてトラウマのように余韻を残すライブも、間違いなく「やっぱりスクリレックスはすげえ」という内容になるはずである。新曲が届けられればなお良いが、まずはスクリレックス印を信用して臨みたい。(小池宏和)




「FUJI ROCK FESTIVAL '18」のタイムテーブルは公式サイトでご確認ください。
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