現地時間4月13日から15日、20日から22日にかけて開催されたコーチェラ・フェスティバル。
ザ・ウィークエンド、ビヨンセ、エミネムがヘッドライナーを務めた今年も、コーチェラでしか観ることができない貴重なコラボレーションや迫力満点の演出など、たくさんの名シーンが生まれた。
ネット中継で日本からも観ることができた今年のコーチェラだが、本レポートでは公式SNSの写真や動画を織り交ぜつつ、無事開催が終了したコーチェラの様子を今一度ご紹介。
これまでに掲載したDAY1、DAY2に続き、エミネムがヘッドライナーを務めたDAY3の様子を紹介していく。
14時10分、屋内のゴビ・ステージに登場したのは、チャンス・ザ・ラッパーに見初められたフィメール・ラッパー/詩人のノーネームだ。昨年10月の初来日公演でも評判を呼んだバンド・セットをさらに磨き上げ、まだ名前も無い新曲やミック・ジェンキンスらのカバーも披露。小気味良いフロウとキュートな笑顔で大観衆を魅了した。
続いて、15時台のソノラ・ステージでは10代の若きSSW、スネイル・メイルが熱演。6月にマタドールからリリースするデビュー・アルバム『Lush』の楽曲を中心に、90年代オルタナ/ローファイへの憧憬を感じさせるラフなギター・サウンドが、ライブハウスみたいに親密なソノラの空気にぴったり。当日Instagramをチェックしていたら、土曜日に出演した姉貴分=エンジェル・オルセンと一緒に初めてのコーチェラを満喫しているようだった。
カーディ・Bやミーゴスが好ポジションに位置していることからも分かるように、ヒップホップやR&Bが年々存在感を強めているコーチェラだが、ロック・バンドの奮闘も無視できない。メインに次ぐ規模感のアウトドア・シアターでは、UKからの刺客ナッシング・バット・シーヴスが“Amsterdam”などのキラー・チューン連発でオーディエンスを沸かせていたし、モハーヴェ・テントでは地元LAのやんちゃな4人組、フィドラーが3日間で最大のモッシュを巻き起こしていたのだから感動的だ。
そんな中でも、グラミーで最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞に輝いた勢いそのままメイン・ステージに抜擢されたポルトガル・ザ・マンは、コーラス隊&ダンサーを迎えた大所帯でアンセム“Feel It Still”を投下、18時台の夕暮れ時から夜へと移り変わる瞬間をめくるめくパーティー・タイムに変えてみせた。今夏のサマーソニックでは、これを超える大合唱が実現するだろうか?
フジロックやサマーソニックにも出演するアクトとしては、火柱が上がるサハラ・ステージをSFライクなサウンドで揺らしたプチ・ビスケット、オーケストラを率いた壮大でスピリチュアルなサウンドスケープを描いたカマシ・ワシントン、あるいは巨大スクリーンにドローン、鼓笛隊まで呼び込んでメインのトリ前という大役を務め上げたオデッザなど、彼らの気合の入りまくった演出は来日への期待感を高めるものだった。
そして、忘れ難いのがエミネムの硬派なパフォーマンスだ(ヘッドライナー3組中、彼だけ配信ナシ)。冒頭の“Medicine Man”からいきなりドクター・ドレーを召喚し、昨年リリースの新作『リバイバル』より“Framed”などの初お披露目曲も繰り出しつつ、中盤では50セントとも共演。
ビヨンセやリアーナの飛び入りこそ実現しなかったが、女性ボーカル・パートにおけるスカイラー・グレイのアシストも見事で、徹底的に「生音」にこだわったストリングス&バンドとの素晴らしい一体感を見せつけていたようだ。
本編終盤には再びドレーとの共演で2パックの“California Love”をカバーし、アンコールの“Lose Yourself”では大量の花火が夜空へと放たれ、豪華絢爛なコーチェラの最終日を締めくくった。(上野功平)
コーチェラDAY1(4/13&4/20)、DAY2(4/14&4/21)のレポはこちら。