4年ぶりとなる新作『ゼイ・ウォント・マイ・ソウル』を引っ提げて10月からツアーに乗り出すスプーンだが、ジム・イーノはツアー後にはまたソロ活動にしばらく時間を取られる可能性があると明らかにしている。
今回の新作が2010年の『トランスファレンス』から4年も空いてしまったことについてジムはブリット・ダニエルのディヴァイン・フィッツとしての活動など、メンバー各々の活動があったからだと説明しているが、スプーンの解消という判断は考えたことなかったとビルボード誌に語っている。
「それは特に考えたことなかったね。みんなの準備ができたらどこかの時点でまたみんなで集まるはずだと思ってたよ。それに休みは本当に必要だったんだ。それまでぼくたちは作曲、レコーディング、ツアーと作業を7年間ぶっ続けでやり続けてきて、その間、ほとんど休みもなかったから、しばらく遠ざかってみる必要はあったんだよ。そのうちブリットもだんだんディヴァイン・フィッツからも自由になってきて、だんだんとみんなでスケジュール帳を埋めながら、『そろそろリハーサルでもやろうか』っていう話になったんだよ。それから曲を形にし始めてみたら、『そろそろスタジオのブッキングでもする頃合いかな』って思えたんだよね」
また、新作ではプロデューサーにジョー・チッカレリとデイヴ・フリッドマンをそれぞれに迎えているが、チッカレリとはブリットがディヴァイン・フィッツで一緒に仕事をしたことがあった縁で組むことになったとジムは説明している。
「アレンジとか、いろいろ手伝ってもらったんだけど、作業を一緒にやってみればみるほど、こっちが期待していたほどジョーとぼくたちの間には共通点がなかったことがわかってきたんだよ。それで作品の一塊だけジョーとやることにして、その後ニューヨークに出向いてデイヴとミックスに取りかかることにしたんだよ」
その後、デイヴが4曲についてプロデューサーを務めることになったというが、デイヴはザ・フレーミング・リップスやMGMTなど音の拡がりを相当に感じさせる作品で有名だったので、自分たちのような省エネ・サウンドにデイヴが合うのかどうか最初は不安だったとジムは語っている。しかし、いざやってみたら、あくまでもバンド本位なプロデューサーだとわかって助かったとも振り返っている。
なお、今後のスプーンとしての制作作業については次のようにジムは見通している。
「きっとブリットとアレックス(・フィッシェル)はもう1枚ディヴァイン・フィッツとしての作品を作りたいはずだとは思うよ。そういうことになったら、とりあえずスプーンの新作は2年間はやれなくなるはずだけど、成り行きに任せるしかないよね。ぼくたちはスタジオに入る時にはたいてい曲は一つもできてないものなんだけど、今度やる時にはいくつか、やり残したものに取りかかることになりそうな気がするんだ。半分くらいはできてると言えるものがいくつかあるから、そういうのが手元にあるだけでも心強いよね」