男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST - all pics by 山本倫子all pics by 山本倫子
6年ぶりの開催となった、サンボマスターの自主企画イベント「男どアホウ サンボマスター」。レキシをゲストに迎えて行われた初日に続き、2日目は10-FEETが登場。新木場STUDIO COASTをみっちり埋め尽くしたオーディエンスを前に、熱情ほとばしるライヴ・パフォーマンスが披露した。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
「準備は良いか!? それではプレイボール!!」というサンボマスター木内の声を合図ステージに姿を現した10-FEET。観客からのものすごいコールが上がる中、“JUNGLES”を披露すれば、フロアはたちまちモッシュとダイブの嵐だ。重厚かつ重低音なバンドアンサンブルが痛烈に鳴り響き、否応にもテンションがマックスまで跳ね上がる。早くもクライマックスのような盛り上がりを見せるフロアを見て、「もっと行けるやろ! 今日という日をどんな日にするつもりや? 見せてみろ!」と煽りまくるのはTAKUMA(Vo&G)だ。「飛べッ!」と歌った“VIBES BY VIBES”では、観客が一斉にジャンプし、新木場STUDIO COASTが揺れる。フロアの観客も、何度となく手を振りながら歌うTAKUMAも、弧を描くように回転しながら演奏するNAOKI(B)も、全身でドラムをプレイするKOUICHI(Dr)も、尋常じゃない気合の入り方だ。フロアが割れるような歓声とオイコールに包まれた“その向こうへ”で響かせたサウンドは、思わず仰け反ってしまいそうになるほど鬼気迫るものがあった。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
イントロのドラムで大きな手拍子が巻き起こった“under the umber shine”でフロアにモッシュの嵐を巻き起こすと、「今日はKOUICHIのディナーショーに、こんなに集まってくれてありがとうございます。やったことないけど、自己紹介します」と語り、3人がそれっぽく自己紹介するというレアな光景が繰り広げられる。「どうも、ギターのTAKUMAです」とTAKUMAがギターを鳴らすと、NAOKIもドリフターズの「ヒゲダンスのテーマ」をベースで演奏し、「ベースのNAOKIです」と続ける。KOUICHIはなぜか米米CLUBの「君がいるだけで」のサビを大熱唱し、「KOUICHIです!」と決める。これにはもう、フロアは大歓声&大爆笑だ。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
さらにTAKUMAが観客を一旦フロアにしゃがませ、「起立! 気をつけ! こんばんは!」と何故かいきなり挨拶するという謎の展開も。しかし、その後の“Freedom”の爆発力たるや、恐ろしいほどだった。激しく、熱く、それでいてどこか人間臭さが伝わる10-FEETのロック。そこはきっとサンボマスターとも共通する魅力だろう。「この曲の歌詞は、一番は東北の仲間に向けて、二番は自分の今までのいろんな別れについて書きました。悲しいことがあっても、それを無駄にしたらあかんなって」と歌った“シガードッグ”は、心の深くに熱く染み入るようだった。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
“RIVER”で再びフロアの熱気に火を灯すと、「サンボマスター、ありがとう。大好きやで」と思いを噛みしめるように語るTAKUMAの姿に、両バンドが重ねてきた信頼関係の深さを感じずにはいられない。“1sec.”でフロアにモッシュとダイブの嵐を巻き起こすと、「ありがとうございました。10-FEETでした。……アンコール始めます! 後2曲、ぶっ飛ばせよ、もう言葉はいらんわ!」とTAKUMAが語り、“goes on”を披露。フロアの至る所に大きなサークルモッシュが発生し、歓喜の輪が広がる。みんな肩を組みながらジャンプし、もみくちゃになりながら笑顔で踊っている。ラストに「1年に1回だけ咲くあの花を、生まれて死ぬまで何回見れるんやろ? なるべく何回も見いや。長生きせえよ!」とTAKUMAが叫び、10-FEETのあの大名曲を演奏……と思いきや、NAOKIが歌い始めたのはYUIの“CHE.R.RY”! そんなまさかの展開でオーディエンスをずっこけさせつつ、“CHERRY BLOSSOM”でラストを飾ると、フロアは無数のタオルが舞って壮観なフィナーレ。あらゆる感情が沸点超えしてスパークするような、壮絶なステージだった。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
転換をはさみ、いよいよサンボマスターが登場する。会場に“モンキーマジック”が鳴り響けば、フロアからは大きな歓声とハンドクラップが巻き起こる。ステージに登場するなり「10-FEET、カッコ良かった(泣)。TAKUMAくんの声が良いのはみんな知ってると思うけど、NAOKIの声も高くて良いんだよね〜」としみじみと語る山口隆(Vo/G)。10-FEETのライヴの余韻を振り払うように「男どアホウ、最後のアクト、サンボマスターです!」とシャウトし、“世界をかえさせておくれよ”を披露すると、観客は手を掲げながらフロアを揺らし、大合唱が巻き起こる。山口は「お前たち、10-FEETで体力使い果たしてるんじゃねぞ、バカヤロウ!」と煽り、フロアの興奮をさらに強く牽引していく。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
「どんな夏フェスよりも、どんなライヴよりも、10-FEETとサンボのライヴがすごかったって言えるライヴにしましょうか! 10-FEETとサンボマスターと君たちでミラクルを起こしたいんです!」と山口の絶叫に続いて披露したのはもちろん、“ミラクルをキミとおこしたいんです”。フロアはコールとハンドクラップに埋め尽くされ、まさにミラクルとしか言いようのないほどの壮絶な盛り上がりを生んでいく。熱狂するフロアを前に、もっともっとと求める山口は、「お前たち全員が光って見えるんだ。信じてくれますか、お前たちが光だってこと。光! 光! 光のロック!」と“光のロック”で新木場STUDIO COASTに激情の嵐を起こす。尋常じゃない求心力と熱量を持つサンボマスターのステージに、フロアは燃え上がりそうなほどの熱狂だ。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
「この歌を、ふるさとの歌を歌いたいんだ。俺らはお前たちに、I love youって言いたいんだ。I need youって歌っていいか?」と山口が語ってスタートした“I love you & I need you ふくしま”は、近藤洋一(B)によるアコースティック・ギターだけで演奏。観客は手を左右に振って彼らの歌に応え、最後は大合唱。フロアに温かな一体感が広がっていく。さらに“ロックンロール イズ ノットデッド”を続けると、再びフロアは燃えたぎるような熱狂に包まれる。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
山口は、「ギター下手でもバンドできるって勇気をもらいました」と高校生からのツイートをもらったという悲しいエピソードを語り、「今日はここで練習の成果を見せたいと思います!」と“静かに光りつづけるもの”のインストゥルメンタル・ヴァージョンを熱演する。ソウルフルなギター・ソロで観客を大いに沸かせると、木内もドラム・ソロを畳み掛ける。が、激しい演奏を見せた木内は、ステージの真ん中でパタリと倒れこんでしまう。「太陽にほえろ」のテーマ曲が悲しく鳴り響く中、担架では運ばれていく木内。「誰かこの中に、ドラム・ソロのできる人はいませんか?」と会場を見回す山口。すると、ステージ横から「ここにいま〜す」と緊張感のない声が。そこに立っていたのは、10-FEETのKOUICHIだ! 「俺がなんでここに来たかわかる? 俺は木内のことが大好きやねん」とニッコリ語ると、KOUICHIがドラム・ソロを演奏。フロアが大歓声に包まれる中、いつの間にか木内もステージに戻って来て、KOUICHIと激しいドラム・ソロの応酬を繰り広げる。……と小芝居をはさみつつもサプライズな展開にフロアは沸きに沸く。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
続く“孤独とランデブー”では、シーケンスが鳴り響く中、サンボマスターの3人がマイクを持ち、まるで3MCのラップグループのように歌うというパフォーマンスを披露。イントロでは、EXILEのロールダンスまで飛び出し、フロアはもうお祭り騒ぎの盛り上がりだ。ラストはバンド編成で演奏し、フロアに爆発的な歓喜をもたらすと、“そのぬくもりに用がある”を畳み掛け、熱狂をさらに加速させる。大歓声とモッシュの嵐が吹き荒れるフロアを楽しそうに見回した山口は、「ぐるっと回ったり、グシャグシャっとなったり、最高だな、みんな!」と満面の笑みだ。

男どアホウ サンボマスター(ゲスト:10-FEET) @ 新木場STUDIO COAST
「愛と平和」コールが新木場STUDIO COASTに熱く鳴り響いた“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”に続き、「10-FEETと、サンボマスターと、すべてのロックバンドに捧げる!」(山口)と歌った“できっこないを やらなくちゃ”でクライマックスの盛り上がりを呼び、本編は終了。アンコールで再びステージに登場すると、「いやいや、本当に、本当に、本当に、今年このツーマンができて良かったです。レキシも、10-FEETも、忙しいのよ? それなのに、俺たちの茶番に付き合わせて(笑)」と山口が語る。そして、「男どアホウ、女どアホウ、ありがとう!」と“歌声よおこれ”を演奏し、フィナーレ。最後は“うまくいくんだよきっと”が鳴り響く中、10-FEETの3人もステージに登場し、大団円を迎える。最後の最後まで、新木場STUDIO COASTが汗と涙と笑顔でグシャグシャに埋め尽くされた感動の夜だった。(大山貴弘)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on