終演後にそう無邪気に、そして高らかに言いたくなった。
kurayamisakaが1stフルALを引っ提げて全国を回った「くらやみざかより愛を込めてツアー」は全公演ソールドアウト。それもそのはずだ。1stフルAL『kurayamisaka yori ai wo komete』がとにかく素晴らしかったから。
だからこそ、きっと観客一人ひとりのライブへの期待値は正直高かったと思う。
が、悠々と超えてきた。
メンバー全員が「届けたいサウンド」を全身で自由に鳴らす、媚びることのないその様は、音源からは想像がつかないほどにアグレッシブ。そして内藤さち(Vo・G)の歌声も、そんな楽器隊の音圧にも負けない、まっすぐでクリアな強さを持っていることを知った。
結成は2022年ではあるが、別のバンド経験があったり、今も他のバンドと掛け持ちをしているメンバーもいる。その経験値を「kurayamisakaだからこそ鳴らしたい音楽 」に注いでいることがビシビシ伝わった。それぞれ個性が光ったプレイをする5人だが、決して殺し合わず、その個性がまとまりひとつの塊となって鳴らすバンドサウンドに圧倒される。kurayamisakaのバンドとしての力強さに胸を打たれた。
途中のMCでは「街に出たらkurayamisakaを知っている人はまだまだ少ないと思うし、クラスにひとり、職場にひとりくらいだと思うけど、それが2、3人になったらいいな」と謙虚に話していたが、楽曲の魅力に加え、そのライブパフォーマンスに魅了された人たちからも広がっていけば、そんな未来はすぐ来ることだろう。
ぜひライブの生のサウンドを聞いて、kurayamisakaのそしてバンドというものの魅力に改めて気づいてほしい。(成瀬諒花)
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