The Mirraz @ Zepp DiverCity

The Mirraz @ Zepp DiverCity  - All pics by 山本倫子All pics by 山本倫子
The Mirraz @ Zepp DiverCity
「選ばれてそこに行くんじゃなく、選んでそこに行くんだツアー」

2月にリリースされたメジャー1stフルアルバム『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』を引っ提げた全国ツアー『選ばれてそこに行くんじゃなく、選んでそこに行くんだツアー』のファイナルとなった、Zepp DiverCity(しょっぱなから文字が詰め詰めになるあたりも、ミイラズのレポートらしい!?)。客電が落ちると、響き渡る熱狂的な歓声! そこに4人が現れ、畠山承平(Vo&G)は前方の何人ものオーディエンスとハイタッチ。さらに、拳を突き上げるフロアに向けて「よっしゃ」と応えるように拳を突き上げて、“スーパーフレア”を鳴らし出した。そんなオープニングから象徴しているようだけれど、ファンサービス的な温かさとはちょっと違った共犯関係みたいなものが、ミイラズのライヴには漂っている。畠山は何度も前に出たり、「サンキュー!」って叫んだりしていたけれど、そこには感謝と同時に信頼感も滲み出ている気がした。

オーディエンスの声が会場いっぱいに広がった“WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!”まで畳み掛けたところで、小休止……と思いきや、メンバーの名前を叫ぶ声が止まず。畠山が思わず「うるさいぞ、こらっ!」と言ってしまったくらい、オーディエンスも奔放だ。さらに畠山が「今日はね、カメラいっぱいいるでしょ。モザイクとか入れないから、化粧直しておいて」と映像作品のリリースを匂わせると、さらにオーディエンスは沸き上がる。“De La Warr”、“僕はスーパーマン”、“encode”と攻めていき、ゆったりと甘い“クッキー”へ。様々な感情がめくるめき、吐き出せるミイラズのライヴには、こんな場面も重要だ。

The Mirraz @ Zepp DiverCity
続く“チェンジ!チェンジ!チェンジ!チェンジ!チェンジ!”の前には「この曲をケイゾーが好きで好きで仕方ない」と言う畠山に、中島ケイゾー(B)は「みんなも好きでしょ!?」と問い掛けると、ワー!という返答が。その後の演奏が、盛り上がらないわけがない! “気持ち悪りぃ”では、畠山が先陣を切るように「あー、気持ち悪りぃ!」と生々しく叫び、“ハッピーアイスクリーム”では、たくさんの手がかざされる。この場所を多くの人が求めているんだな、ということが何よりも伝わってくる瞬間が、次々と訪れていった。

The Mirraz @ Zepp DiverCity
畠山とケイゾーが、映像作品で使えないであろう下ネタを含むグダグダのMCをしたかと思えば、畠山が「珍しいね、真面目じゃない?」とフロアに問い掛けると、「う●こ!」と元気いっぱいに返されるという、両者負けていない時間を経て(笑)、リリースされたばかりのミニアルバム『夏を好きになるための6の法則』から、“真夏の屯田兵 ~yeah! yeah! yeah!~”、“名曲”へ。そう、ミイラズはフルアルバムから間もなく、ミニアルバムをリリースしたのだ。この性急さ。そして、夏という彼らに一見似合わないキーワード。裏切り、掴み、突き進む――今のミイラズが、凄くいいテンションで在れている証だと思う。バックにはLEDがきらめいていたのだが、“真夏の屯田兵 ~yeah! yeah! yeah!~”の時は、絵葉書みたいな青い海と砂浜が映し出されていた。その演出がぶっ飛んでいる。そのまま終盤も、“ふぁっきゅー”で畠山がマイクを掴んで前方に進み出たりして、会場の温度を高めていく。

The Mirraz @ Zepp DiverCity
そして、いよいよあと2曲というタイミングで、畠山が口を開いた。とは言え、ツアーファイナルの本編を締め括るMCなのに、きゅっと締まったり、湿っぽくならずに、相変わらずユルい空気になるあたりは彼ららしい。でも、全てにおいて自然体ながら、憧れてしまうカッコよさがあるロックバンドって、実は日本においては貴重だと思うのだ。さらに、このMCの中には「このツアー、楽しかったんだよね」とか、「遂に、僕は知ってしまった」とか、何だか気になる言葉が散りばめられていた。これからのミイラズはどうなっていくんだ? そんな想像を巡らせながらも、“僕らは”まで狂騒の宴は続いた。

The Mirraz @ Zepp DiverCity
アンコールでは、登場するなり本編のMCのようにグダグダの空気になり掛けるも、畠山の「やろう!」の一声で演奏へ。“観覧車に乗る君が夜景に照らされているうちは”で、ピールフルに暴発してステージを降りた。《サンキューまた会える》の歌詞を、メッセージのように叫んだ畠山。また、進化を遂げたミイラズに会える日を、期待して待ちたい。(高橋美穂)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on