killing Boy @ 渋谷WWW - photo by 橋本塁(SOUND SHOOTER)photo by 橋本塁(SOUND SHOOTER)

killing Boy @ 渋谷WWW

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6/6にリリースされたニュー・アルバム『Destroying Beauty』を携え、大阪・名古屋・東京と巡るツアーのファイナル。大阪と東京では初のワンマン・ライヴとなり、チケットもソールド・アウトとなった渋谷WWWである。フリーキーなクラブ・ジャズからデトロイト風味のテクノと、強力なダンス・グルーヴを繰り出すDJが開演前の場内を温め、いよいよkilling Boyの登場だ。いきなり日向秀和(B.)のスラップ・ショットと大喜多崇規(Dr.)の鋭利で硬質なビート、伊東真一(G.)の細やかなフレーズで駆け上がるようなギターがぶつかりあい、挑発的なまでに快感原則に則ったバンド・グルーヴが叩き出される。そして木下理樹(Vo.)が歌い出す“talking about angels”。『Destroying Beauty』は音源においてもkilling Boyの「バンド感」の飛躍的な向上が受け止められた作品だったが、それぞれに経験を重ねたステージの猛者たちの集合体であるこのバンド、ライヴの場となれば一瞬で凄まじい躍動感を描き出してしまう。大喜多や伊東の存在感も実際には「サポート・メンバー」といった印象ではない。紛れもない4ピース・バンドの姿なのである。文末に掲載するセット・リストを見ればお分かり頂ける通り、今回のステージで演奏されたのは『killing Boy』と『Destroying Beauty』の収録曲すべてとなる計17曲。だから集大成的に奇麗に纏まったステージなのか、というとそうではなくて、『killing Boy』の楽曲はおろか『Destroying Beauty』の楽曲までも、「こんなふうに届けられるようになった」むしろ「今日はこういう聴かせ方・見せ方」というふうに日進月歩の経過報告が届けられる印象になってしまっている。理樹は「どうも、killing Boyです」とこの上なくシンプルに挨拶を済ませ、曲また曲という素振りだし、扇動的でダンサブルなこと極まりないパフォーマンスが行われているわりに、場内の雰囲気には「次は何が起こるんだろう」と固唾を飲んで見守るような緊張感が、いつまでも残されているのだ。ステージ上手奥にはマニピュレーションを担当する人もいて、“1989”など同期するトラックが盛り込まれる場面も多いのだが、すぐにバンドのアンサンブルに掻き消されてしまうほど控え目な鳴り方をしている。そのことだけでも、音源で聴くkilling Boyとライヴの場のkilling Boyの違いがお分かり頂けると思う。これは、どちらが優れているという話ではない。音源作品には音源作品の、ライヴにはライヴの、それぞれの素晴らしさが際立っているバンド、ということが言いたいだけだ。もちろんファンにとっては、それぞれの価値を見出しやすいということにもなる。それぜんぶ人力で出してる音なんだ、と思ってしまうような繊細でテクニカルなフレーズから、“Perfect Lovers”のフォーキーで大らかなメロディ、“cold blue swan”のぐにゃりと空間を捩じ曲げてしまうような玄妙な音響までを描き出す伊東のギター・プレイ。そこに絶えず「君」というターゲットを絞り込みながら年輪を重ね続けてきた理樹の詩情が泳いでゆく。ひなっち×大喜多のリズム・セクションもまた、サウンドが誘爆を起こしてしまっているような猛烈なアタック感からひんやりとしたダークで硬質なグルーヴまで、経験値から弾き出される雄弁なプレイの数々と音楽的コミュニケーションによって楽曲を担ってゆくのだった。オーディエンスに感謝の言葉を伝えると、理樹はMCをさっさと伊東に譲ってしまう。「いやー、暑い中ありがとうございます。今日、家を出るときに、ウチの方はけっこう山の方なんですけど、セミが鳴いていたんですよ。セミが鳴いたらこれ、夏ですよ。セミって、カメムシ目だって知ってました? カメムシって知らない? あのくっさいやつ」。伊東の軽妙で鮮やかな語り口は、巨大な興奮の中にもどこか緊張感を強いるkilling Boyのライヴにとても合っている気がする。メンバーと一緒にオーディエンスも、ほっと一息つける感じだ。「セミのように力強く生きたいですね。あの小さい体であれだけの音量を出すって、相当ですよ。みなさんもセミに負けないように、思いっきり踊って行ってください」。
killing Boy @ 渋谷WWW
伊東のMCに導かれるように、晴れない思いの歌を抱え込んだまま眩いダンス・ロックの中へとダイヴする“love, breed,love”。続く“Sweet Sixteen”へと向かおうとするとき、大喜多のカウントを遮って何やら理樹と言葉を交わすひなっちである。理樹がヒントといった感じで軽くギターで音出しすると。オーイエー、みたいに満面の笑顔で指をさしている。ファンはご存知の通り、ストレイテナーとしてのひなっちは前日までにツアー・ファイナル→『NANO-MUGEN FES. 2012』→『ap bank fes '12』という大舞台連打の強行軍だった。メンバー全員が多忙の身だけれど、ご愛嬌どころか再び鳴り出す音がヤバいことに変わりはない。音も歌も、紛れもなくこの顔ぶれで鳴らす理想型ロック、という強烈な一撃“are you kidding me?”を経て、ドラマティックな展開で響き渡る“no love lost”も鳴り止んだかと思われた刹那、ステージにいなたい男の影がふたつ。今回のスペシャル・ゲスト、SOIL&”PIMP”SESSIONSから社長(アジテーター)とタブゾンビ(Tp.)が登場である。エフェクトを噛ませた社長の不穏なスポークンワードと、タブゾンビの浮かび上がるようなトランペットの旋律が繰り出さて熱を帯びる。「さあみんな元気かい!? ちょっとお邪魔させてもらうよ。このステージの男達と会話してみないか!?」と切り出される熱いアジテーションに焚き付けられ、続く“funkkk”に突入してゆく6人である。理樹もギターを掻き毟ってとんでもない音像が構築されて行った。まさにDEATH JAZZ killing Boy(すみません、書いてみたかったんです)。喝采に包まれながらゲスト2人がステージを後にすると、「……かっこいー……あの2人、かっこいいなー……」と噛み締めるように呟くひなっちであった。最高。伊東も「盛り上がりましたねえ。でも僕たちだけでもちゃんと盛り上げるんで、安心してください。今回は3か所しか廻れなかったんですけど、ライヴをやるたびにどんどん、曲が強くなっている気がして。嬉しいですよね? お客さんも嬉しいですよね!? そう、また新曲を作ろうってなってて、ひなっちのベース・ラインがかっこいいんですよ。そこにリッキーの歌が乗るとヤバイことになるんで、楽しみにしていてください」と語り、怒濤のラスト・スパートへと向かうのだった。理樹は「killing Boyはじめてのワンマンで、ソールド・アウトして。何年キャリアを積んでも、嬉しいです。ありがとうございました」と告げて満場の拍手に包まれ、まくしたてるような強靭なヴォーカルで本編最後の“Confusion”を歌い上げてみせる。 また、アンコールで理樹は、慎重に言葉を選びながらこんなふうにも話していた。「僕たちは100%インディー・バンドなんで、Tシャツとか物販とか、買ってもらえると、それでまたアルバムを作ったり、ツアーしたりできるんで。うん、これは宣伝じゃなくて、ずっと音楽やってると忘れそうになるんだけど、本当にみなさんのおかげだし、感謝しています」。killing Boyの始動当初は、傍目にはやはり理樹とひなっちのアーティスティックな再会の部分に注目しがちだったけれど、その後のバンドとしての進化といい、「ひとつのバンドが続くということ」へと活動の意味が変わってきている。観る側にもそれがはっきり伝わるようになった。堂々と宣伝もすればいいと思う。ファンならきっと誰でも、好きなアーティストをサポートすることは喜びに他ならないからだ。彼らはこんなふうに「バンドマンとして生きる意味」を手探りしながら、それぞれに多忙な身を押してでも、新しい価値を生み出そうとしてゆくのかもしれない。素晴らしいライヴだった。なお、理樹のMCのあとにはまたもや伊東の博学なネタ披露があって面白かったのだが、既に『ROCKIN’ ON JAPAN編集部日記』で詳しく紹介されているので、未読の方はぜひ(こちら→http://ro69.jp/blog/japan/70394)。killing Boyは8/4(土)、ROCK IN JAPAN FES. 2012のWING TENTに出演を予定している。(小池宏和)
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SET LIST
01: talking about angels
02: you and me ,pills
03: Frozen Music
04: 1989
05: Perfect Lovers
06: cold blue swan
07: black pussies
08: love, breed,love
09: Sweet Sixteen
10: are you kidding me?
11: no love lost
12: funkkk
13: true romance
14: xu
15: Confusionencore
01: in the corony
02: Call 4 U
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