セットリストは以下。自らのグッズのTシャツ姿で、ショート・スケールのアコギを提げて出てきたエド・シーランは、ジャケの子供みたいな写真に比べると、ちょっとマッチョでいなたい感じでした。1.Give Me Love
2.Grade 8
3.Drunk
4.Wayfaring Stranger
5.Small Bump
6.The City
7.Kiss Me
8.Lego House
9.You Need Me,I Don’t Need Youアンコール
10.Parting Glass
11.The A Team
12.Feeling Good
13.Wake Me Up
14.Guiding Light全14曲(12曲目と14曲目はカヴァー曲)、約1時間40分。曲数のわりに尺が長かったのは、本編ラストの9曲目、おそらく15分くらいやってたのでは、というのを筆頭に、長く長く歌い演奏する曲が何曲かあったから。ステージには、頭から最後までエド・シーランひとりだけ。弾き語りで1曲目をスタート、歌い終わった、と思ったら、自分の歌や、ギターを弾く音や、ギターを叩く音を、録ってはループさせてどんどん音を重ねていって、さらに曲が続いていく。しまいにはギター置いてハンドマイクで歌う。というこれ、ステージ全編のうち、何度も出てきました。この方法、国内にも海外にもやる人いますが、エド・シーランの場合、ギターを弾く音もギターを叩いてドラムもしくはパーカッションのように鳴らす音も、どれもいちいち、言わば「歌うように響く」「そしてそれが重なっていくので楽器も使ったアカペラみたいになる」のが特徴。だと、聴いていて思いました。挙句、この曲、フロアをふたつに分けて3度違いのメロディを歌わせて、ハモらせて、それに自分がのっかって歌っておしまい、という終わり方でした。なんだこれ。まだ1曲目だぞ。まるでアンコールのラストみたいじゃないか。
前述のとおり、アルバム『プラス』のハイライトであるところの9曲目“You Need Me,I Don’t Need You”を長く長くプレイし、フロアのテンションを上げるだけ上げて、本編終了。アンコールは、“Parting Glass”を歌いながらソデから出てくる。で、終わったと思ったら、「そっちでやるよ」とフロアを指差し、スタッフ1名と共に移動。フロアほぼ中央で台みたいなのの上に立って、マイクなし、ギターもPAなしの生音のみで、11曲目から14曲目までやりました。私、たまたま近い位置にいたもんで、表情も動きも声も至近距離で堪能しました。いやあ、すごかった。
で、14曲目の最後は、オーディエンスに大シンガロングさせたまま、その場から去る。またステージに出てくるのかな、と思ってみんな歌いながら待ってましたが、結局そのまま終わりました。この日、唯一よくわからなかった時間でした。つまり、それ以外はもう圧倒的だったわけです。さっきからすごいだの圧倒的だの何度も何度も書いているが、何がそんなにすごかったのかというと……これ、あくまで僕個人の感想ですが、歌が、つまりメロディと声が「作られた」感じが、まったくしないのだ。コードを弾いていろいろ鼻歌をしてメロディラインを探してみた末に決まった、というような作為を、あまりにも、感じない。「ただ出てきちゃった」というか。「ハナからそこにあった」というか。どの歌も、どの声も、どのメロディも、ひとつとして奇をてらったところがない。なのに凡庸じゃない。ごくあたりまえで、ごく自然で、そしてひたすらに美しい。すべての歌がそんな感じだった、ほんとに。この人にとって、きっと、しゃべることよりも歌うことの方が普通な行為なんだろうな、と思う。
で、このすごさ、アルバムを聴いているだけだとわからなかったかも、とも思った。次はいつ来るのか知りませんが、とにかく、機会があれば観た方がいいと思います。蛇足。あと、かわいかったのが、アンコールの11曲目でフロアに移動して、その台みたいなのの上で歌いながらギターを弾いている間中、ずーっと時計回りにゆっくり回っていたこと。4曲全部そうでした。一度も止まりませんでした。お客さんに対するサービスですね。偉い。でも、ゆっくりとはいえ4曲回り続けていたわけなので、終わった頃にはフラフラだったのでは。と、心配になりました。(兵庫慎司)