ジャスティス @ Zepp Tokyo

ジャスティス @ Zepp Tokyo - pics by TEPPEIpics by TEPPEI
ジャスティス @ Zepp Tokyo
ジャスティス @ Zepp Tokyo
昨年10月リリースの2ndアルバム『AUDIO,VIDEO,DISCO』の来日リリース・ツアー、10日大阪なんばHatch・11日&12日Zepp Tokyo、の3公演のうちの2本目。既に当RO69の宮嵜ブログにも「来日ウラ話」とふたりの写真がアップされていますが(こちら http://ro69.jp/blog/miyazaki/62661)、そこにもちらっと書いてあるように、とにかくもう、すごいもんだった。で、そのすごさの中に、「自分たちはこうです」「こうやります」という意志が、とても表れているライヴだった。

ステージ中央にふたりが立つブース、その前にでっかい十字架、左右にはマーシャルのキャビが9発ずつ、合わせて18発。というのは、以前の来日時と一緒だけど、その後方3面に、ステージ天井まで届く高いLEDが、びっしりと立てられている。そのさらに奥に何本ものスポット。伝聞情報ですが、こないだの夏のフジロックのケミカル・ブラザーズの時と同じスタッフによるものらしい。で、当然、それらが、あと写真のようにマーシャルも、次々とくり出されるトラックたちとリンクして作動しまくる。あと、ふたりの立つブースがうぃーんと左右に開いてまんなかにキーボードが出現、それを弾く、というシーンも2回くらいあり(これも写真参照)。
いずれも、もう観ているだけで、「うわあー」って声が出るような図になるわけですが、ただし。あくまで「照明としてLEDを使う」という方法なのだ。LEDなんだから、画を出すのも文字を出すのも自由自在なはずなのに、それはなし。あくまで照明。特に、夏のフジのケミカルの時の「もう何もかも出しまくり」を観た方には、その差異がはっきりわかったと思う。というところに、何か、ジャスティスならではのこだわりやポリシーを、強く感じた。ストイックだった。
音もしかり。遊びや尾ひれや余興なし、あくまで直球で質実剛健。“GENESIS × CIVILIZATION”で始まり、ニュー・アルバムのタイトル・トラックで本編終了、プラス、アンコールが2曲で全14曲、約1時間20分。その時間を使って「ストーリーを描く」というよりも「駆け抜けていく」ようなステージだった。いや、実際には、曲順にも照明などの演出にもいろいろ緩急とかあったし、前述のようにキーボード弾いたりもしたわけだし、それなりのストーリー展開はあったんだけど、それ以上に「とにかくもうあっという間だった」「ステージ上もこっちもテンションうわーってなってる間に終わってしまった」という印象が強かった。

バンド名からしてメタリカだし、トレードマークはクロスとマーシャルだし、メタルと関連づけて語られることが多いジャスティスだし、実際そうだとも思うが、作品を聴くたびに、ライヴを聴くたびに、メタルというよりも、ただ、まっとうなロックを自分たちなりに正面からやるとこうなる、ということなんじゃないかなあ、と思う。ニュー・アルバムが、特にそういう作品だった、というせいもあるが。
今、ロック・バンドの形態で鳴らされている音楽はもはやロックじゃなくて、本来の意味でロックなのは、このジャスティスのようなスタイルなのだ、みたいな、古くさいことを言いたいわけではない。「もしレッド・ツェッペリンが今の時代にいたら、僕たちみたいな音を出していたはずだ」とケミカル・ブラザーズが語ったの、もう15年とかそれくらい昔のことだし。だから、新しいとか古いとか、そういう話じゃない。ただ、自分たちの思うロックのエッジの部分、もっともシャープで刺激的な部分だけを選択して、残して、そこだけを研ぎ澄ませていったら、このへんのジャンルにカテゴライズされる、こういう音になったんじゃないかなあ、という気がした。
ジャスティスはシリアスだ、とても。って、ほんとか? と思わなくもないが、でも、そういうものを、とても感じたステージだった。(兵庫慎司)
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