くーっ!なんだかむやみやたらにイケメンなのだがどうすればいいんだ!
パワー・ポップやギター・ポップの伝統を鑑みるに、それは本来ちょっとイケてないナード文型男子の聖域であったはずで、ザ・カーズの昔からウィーザーやファウンテンズに至るまで、パワポに「イケメン」の文脈は全く必要とされていなかったはず。なのに、それなのに、このクリック・ファイヴはイケメンなのである。だから本国アメリカではアイドル人気も物凄く、むこうでのライヴは年若いギャルで超満員&悲鳴の嵐だそうだ。そういった意味では西海岸のローファイ王子様バンド=ファントム・プラネットなんかと肩を並べるべき、東海岸のパワポ王子様バンドと言えるかもしれません。
このクリック・ファイヴは米ボストン出身の5ピース。メンバーはなんと全員バークレー音楽院卒で、なるほど演奏テクニック&センス共に超高度な次元で纏まっている。ヘタウマなパワポとは一線を画す彼らのパフォーマンスは、それこそマルーン5ばりのアーバン・ソウルやファンキーなリズムも難なくこなす、憎たらしいほどの完成されっぷりだ。顔良し、曲良し、演奏巧し、つまりは死角がないのである。新作『モダン・マインズ・アンド・パスタイムス〜現代的精神と暇つぶし』(12月5日日本盤リリース)から新加入したヴォーカルのカイルもまた、早くもフロントマンの貫禄十分に場をちゃっちゃと仕切っていく。
“ハッピー・バースディ”、“フリップサイド”といった超キャッチー・ナンバーや、最新のキラー・チューン“ジェニー”を含む全11曲。フル・パフォーマンスと言うよりもショウ・ケースの意味合いが勝っていた一夜だったけれど、このバンドはひょっとしたら日本でもメジャー・ブレイクするかもしれない、そんな予感を感じるには十分なパフォーマンスだった。(粉川しの)
ザ・クリック・ファイヴ @ 原宿アストロホール
2007.11.02