ロックもポップもファンクもダンスミュージックものみ込んだ13.3gは、これまでコンスタントな音源リリースと精力的なライブで着実にファン層を広げてきたが、2026年1月、ついにメジャーデビュー。しかもメジャー一発目となる“潜在的なアイ”はTVアニメ『Fate/strange Fake』のエンディング曲である。期待の大きさも半端ないが、その楽曲に見るポテンシャルの高さも相当なもの。
その13.3gとは一体どんなバンドなのか。メジャーデビューを目前に控えたタイミングで、メンバー全員に話を聞いた。
インタビュー=杉浦美恵
──結成したのが2021年。藤原さんと輪田さんはその前に一緒にバンドをやっていたそうですね。これまで壊せなかった自分の殻をすんなり壊すことができたんですよね。このメンバーと組めるようになったということにすごく運命的なものを感じました(藤丸)
輪田拓馬(Dr) 僕と聖樹(藤原聖樹/B)で新しいバンドをやろうということになって、ロビン(奥野“ロビン”領太/G)とは、大阪のバンド仲間だったんですけど、絶対一緒にやりたいと思っていたので声をかけました。そこからボーカル探しには難航したんですけど、最終的にSNSで探していて。そしたらたまたまYouTubeで将太が歌っている動画が流れてきて。その歌にめっちゃ感じるものがあって連絡を取ってみたら、偶然にも大阪にいると。
──どこに住んでいるのかも知らずに連絡したんですか(笑)。
輪田 そうなんです(笑)。で、次の週には会ってスタジオに入っていましたね。
──そもそも藤丸さんと出会う前の段階では、どんな音楽をやろうと思っていたんですか?
輪田 みんなルーツも結構違うし、このメンバーでやりたいという思いだけで始まったので、ボーカルに誰が入るかによって変わったりするのかな、とは思っていて。そこは楽しみにしながら、メンバーが決まってから固めていこうという感じでした。決めていたのは4人組の編成でやるということくらいですかね。
──藤丸さんは熊本出身なんですよね? なぜ大阪に?
藤丸 自分の人生を考えたときに、歌を歌いたいという気持ちだけはすごくあって。ほんとは東京まで行こうと思ってたんですけど、気づいたら大阪にいました(笑)。何をどうすればいいかわからないまま、自分にできることはSNSに動画を上げるくらいで、結果的にそれがりんちゃん(輪田)につながって、このメンバーと組めるようになって。僕は結構シャイなほうだし、コミュニケーションも得意じゃないけど、この人たちと一緒にやっていくんだなあと思ったとき、これまで壊せなかった自分の殻をすんなり壊すことができたんですよね。このメンバーと組めるようになったということにすごく運命的なものを感じました。
──さっき、メンバーの音楽的ルーツはバラバラだという話が出ましたけど、それぞれどんな音楽に触発されて音楽を始めるようになったんですか?
輪田 僕は何か特定の音楽が好きでドラムを始めたのではなくて、気づいたらドラムを始めていたっていう感じで。そこからドラムが際立つ曲を聴くようになっていきましたね。小学生の頃はX JAPANにハマって、その後パンクロックとか、魂ががっつり入っている音楽が好きになっていきました。
ロビン 僕もルーツ的にはラウドロックとか、音のうるさいロックが好きで。僕の中には、ドラマーが叩くクラッシュシンバルが激しく揺れているほどかっこいいっていう独自の基準があって(笑)。それが僕のルーツに強くあります。プレイヤーが「これだけ思いを込めて叩いているんだ」というのがわかりやすく表れているように感じたんですよね。だから、ラウドロック、エモ、スクリーモ⋯⋯そういった音楽が僕のルーツですね。
──それは輪田さんとも通ずるものがありますね。
輪田 そうなんですよ。出会ったときも、そのへんの考え方がガチッとはまったんですよね。ロビンも魂先行で音楽を聴いている印象がすごくあって。
──藤原さんはどういう音楽を聴いていましたか?
藤原 僕はJ-POPがすごく好きで。小学1年生くらいから、家でよくJ-POPが流れていたので、それで音楽が好きになりました。ポルノグラフィティさんとかが好きでしたね。それで気づけばベースを始めていました。
──なぜギターや鍵盤ではなくベースを?
藤原 よくある話なんですけど、友達と「バンドやろうぜ」ってなったとき、「ベースがいない」っていう(笑)。成り行きで手にしたんですけど、やっていくうちにどんどん好きになっていきました。
──藤丸さんはどんなきっかけで音楽が好きになったんですか?
藤丸 まずは歌謡曲だったり、その歌謡曲を落とし込んだシティポップとかが好きになっていったんです。山下達郎さんとか竹内まりやさんとか、ユーミン(松任谷由実)さん、小田和正さん⋯⋯親がそういった音楽をよく聴いていて、僕もどんどん好きになっていって。動画の弾き語りでも、そのあたりの好きな曲をやっていました。
──このバンドに入るまで、自分で曲を作ることはなく?
藤丸 そうですね。作詞も、このメンバーに出会ってから始めました。でも、自分が歌うメロディや歌詞は、やっぱり自分が生み出したものがいいなというエゴというか自我は結成当初からありましたね。
輪田 最初に会ったとき、将太は「曲作れないですけど、大丈夫ですか?」って言ってたよね。でもまあ「みんなでやろうよ」っていう感じで始めて。そしたら将太がピアノの弾き語りで作った曲を送ってきて、それがすごくよくて、「作れるやん!」って(笑)。
──13.3gは結成後からすぐにコンスタントに楽曲をリリースしていきますが、楽曲を出すたびにバンドへの手応えを感じてきたのではないでしょうか。これからもっと大きな渦でたくさんの人を巻き込んでいける、そんな入り口に今立っているということだと思う(ロビン)
藤原 それはすごく感じました。輪田とは前もバンドをやっていましたけど、13.3gを始めてからは、明らかにライブのお客さんも増えたり、反響も大きくなっていったりして、活動に自信を持てるようになっていきました。
輪田 それこそ最初にセッションして音出しをしたときに、僕は「いける!」と思ってたんですよね。それがちゃんと実ったというか。
──2026年、ついにメジャーデビューですね。
輪田 もちろんここからが新たな始まりなんですけど、感動がめちゃくちゃ大きかったです。
ロビン シンプルに嬉しかったですし、それに加えて責任も感じます。背筋が伸びる気がする(笑)。メジャーデビューって、僕たちの音楽をいいと思ってくれる人が増えたからこそで、これからもっと大きな渦でたくさんの人を巻き込んでいける、そんな入り口に今立っているということだと思うんですよね。その思いを大切に、これからも音楽を届けていきたいです。
藤丸 アーティストやクリエイターとして、より「できること」が増えてきていることを実感しています。ライブも規模が大きくなっていくにつれて、よりいろんな人に自分たちの音楽を直接届けられるのかなと思うとワクワクしますね。
藤原 好きで始めた音楽が趣味になり、それが本気になって、その音楽を好きになってくれる人が増えていって。その応援があってここまで来れたんだと思います。まずそれを嬉しく思います。でもこれはゴールではないので、ここからやってやるぞという気持ちが強いですね。
──メジャーデビューの一発目となる曲が“潜在的なアイ”で、これがTVアニメ『Fate/strange Fake』のエンディング曲に起用されるというのも、とても大きなトピックですよね。多様な音楽性をルーツに持つ13.3gらしく、アニメ作品にも共鳴したアグレッシブな楽曲ができあがりました。
輪田 作品のキャラクターたちと、僕らが音楽をするうえで大切にしている魂の部分とが共鳴するように感じられて、制作はすごく燃えました。アニメ作品と僕らの音の掛け算で何が起こせるかなと。
──藤丸さんはどんなふうに作詞をしていきましたか?
藤丸 『Fate』に登場するそれぞれのキャラクターの中に正義や願望があって、そこにしっかり生い立ちや背景がある。それこそが『Fate』の面白さだと感じていたんですよね。だから、たとえば悲しみや喜びを表すにもいろんな表現があって、そういう含みのある部分を融合させて考えていこうと。それでこの歌詞に着地できました。