【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!

【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート! - All photo by  大川茉莉All photo by 大川茉莉
「地元も違います。経歴も違います。職歴も何もかも違う4人がこうして集まったのは奇跡だと思っています。この4人が揃って、自分のバンドを誇りたい、もっと世の中に広めたいと思った気持ちは2年前から何も変わっていません。これからも、僕の自慢のバンドを、自慢させ続けてください!」

2025年7月11日、東京・渋谷WWW。「Am Amp 2nd Anniversary TOUR 『Category or Unusual?』」ファイナル公演終盤で須賀京介(Vo・G)が語った言葉に、バンド結成からの想いが凝縮されていた。

2023年に始動したAm Ampは、もともと俳優として活動していた須賀が「一人組バンド」として立ち上げたものである。そこに、須賀と旧知の仲であるヴィジュアル系バンド出身の矢沢もとはる(B)、現在も2.5次元舞台で活躍する俳優仲間の宮城紘大(Dr)、倖田來未のライブサポートなど幅広く活動するJOHN(G)が集まって現体制となった。出自が違うメンバーで新しいバンドを組み、ゼロからロックシーンに乗り込むことは、そう簡単なことではない。4人は、地道にライブを重ね、一歩ずつ進んでこの場所に辿り着いた。

ライブは、そんな2年を振り返る映像からスタート。初めてのアーティスト写真やMV撮影、たくさんのライブ──さまざまなシーンが映るたびに、当時を知るオーディエンスから感嘆の声が上がる。アニバーサリームードが高まる中、当日会場入りするメンバーが映し出されたのち、荘厳なSEとともにメモリアルな夜が幕を開けた。

ベースアンプの上にロウソクが飾られていたり、ドラムの周りに白い花がデコレーションされていたり、ステージもアニバーサリーの特別仕様。そこに矢沢、宮城、JOHNの3人が登場してビシッとポーズを決めると、盛大な歓声が湧き起こる。トレードマークのメガネに黒スーツスタイルがエロティックな矢沢、対して全身白コーデに頭の花飾りが可愛い宮城、柄シャツに髭でワイルドなJOHNと、それぞれのスタイリングがバラバラなのもAm Ampの魅力だ。最後に黒いロングジャケットを翻して須賀が現れ、「WWW、行こうか!」という煽りを合図に“bakemono”を投下。1stフルアルバム『Category』に先駆けて6月に配信されたばかりの楽曲だが、タオルを回したり、♪oh oh ohとコールしたり、早くもキラーチューンレベルの盛り上がりで一気に会場の一体感が高まっていく。そのままJOHNの攻撃的なリフで踊らせる“HEAT”、矢沢&宮城がハネたビートを操る“トレモロ彼女”と畳みかけ、休ませる隙を与えない。高音からシャウトまで幅広い表現力を持つ須賀は、自らステージを動き回り、カリスマ的な存在感でオーディエンスを扇動。前のめりな4人の姿から、2周年を迎えたお祝いというよりも、この先への大きな一歩を踏み出そうとしている気合が伝わってくる。「ノンストップで行こうか!」という須賀の宣言通り、“SUGAR SPOT”や“貴方の屍になりたい”など過去曲からもダンサブルなナンバーを取り揃え、前半8曲をトップスピードで駆け抜けた。

  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
ようやく一息ついてのMCタイムで、Am Ampのワンマン史上最も多い曲数が用意されていることが明かされた。「まだまだ中盤戦にも突入してません!(笑) ペース配分には気をつけて、最後まで楽しんでいきましょう」と言う須賀に、「次の曲でみんな体ぶち壊すくらい、ペース配分なんか考えずに楽しんでいけるか!」と矢沢が煽るなど、お互いにイジり合いながら和気藹々とトークを展開する4人。冒頭に少し漂っていた緊張感はどこへやら、次の曲である“ジェルネイル”に入る前には、「爪につける、ジェルっぽいやつなんだっけ?」というフリから、「“ジェルネイル”と言ったら負けのゲーム」まで繰り広げる。ややグダグダな空気で笑いを生んだあと、満を持して“ジェルネイル”が贈られた。

「チャイを飲みたい」のコール&レスポンスや振り付けがキャッチーな“チャイラッテ”で盛り上がってから、“責愛”“夏的小故事”とバラードに切り替え、しっとりと歌を聴かせるパートへ。さらに、ストリングスの音色がスリリングな“慕情”、けだるいローファイヒップホップ“chime ga nattara”と、1曲ずつ色を変えるAm Ampの世界観を堪能した。曲ごとに多彩な感情を込めて歌いこなす須賀はもちろん、華麗なパフォーマンスとともにボトムを支える矢沢、須賀の歌声に寄り添いながら表情豊かなドラムを響かせる宮城、繊細に楽曲を彩りながらソロもばっちりキメるJOHNと、全員の個性が改めて際立つ。個性を活かしつつ、一人ひとりがAm Ampを愛し、お互いを信頼して歩んできた2年間の証が音となって会場を包み込んでいた。

  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
幅広い楽曲に「これがAm Ampの振り幅(笑)」と自らツッコみつつ、須賀が「2年間、いろんな振り幅のある曲を4人で作ってきました。都内某所のスタジオで、4人で初めて音を合わせたあの日のことは、今でも忘れられないなって思います」と振り返る。その流れで語られたのが、冒頭に引用した発言だ。誇らしげに「自分のバンドを自慢したい」という須賀を、矢沢、宮城、JOHNの3人が笑顔で見守っていたのは言うまでもない。そこから「4人体制になって初めて出した曲」と紹介された“罪綴り”には、今なお4人の中で燃え続ける初期衝動が漲っていた。

長いメニューもついに終盤戦。ラストスパートを担ったのは、アルバム『Category』の曲たちだった。JOHNの鋭いリフから「オイ! オイ!」と拳が突き上げられた“わたしの”、ダイナミックなグルーヴに合わせてヘドバンの波が起きる“PZA”と、新曲群は特にライブでの即戦力ぶりが凄まじい。フロント3人もステージ際に身を乗り出してオーディエンスを焚きつけ、どんどん熱量を上げていく。そして、アルバムと同じく“エンドロール”が本編のラストナンバーとなった。ひときわ力強いメロディとサウンドが降り注ぎ、《この「ストーリー(作品):自分」ってやつは/誰にも覆させないから》《この喉が枯れるまで/繋ぎ続けていく》と誓いを込めた歌声が会場に集まった全員の心をひとつにする。手を差し伸べる須賀に応えるようにたくさんの手がステージに伸び、ともに美しい光景を作り上げた。

  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
アンコールに呼ばれて登場し、切ないバラード“Ao”を披露したあと、メンバーが思い思いの言葉で2周年について語った。

「1回のライブでこれだけの曲数をやったことがなくて。(バンドが)始まった時はそもそも曲数が少なかったから、2回同じ曲をやったことがあったなあとか回想しながら(笑)。セットリストを見てると、1曲1曲に思い出があって、2年間進んできたんだなあって感慨深い気持ちです。ありがとうございます」(矢沢)

「2年前、初めて僕はライブハウスに足を踏み入れました。僕にとっては未知の場所で、2年の間に数々の場所に行かせていただきました。僕たちが出会っていなかったらこの曲たちも生まれてなかったんだなと思うと、すごく胸が高鳴ります。今日この景色を見て、まだまだまだまだ、もっともっとお客さんを増やしたいなと思いました。今年Am Amp、登っていきます。応援よろしくお願いします!」(宮城)

「喋るのは得意じゃないので……これからも、Am Ampの曲で表せたらと思います。長い付き合いになると思うんですけど、JOHNとAm Amp、よろしくお願いします!」(JOHN)

「自分で言うのもアレですが……いいバンドじゃないですか?(笑) この4人は、おのおのいろんな仕事をしていく中で、帰ってくる場所がAm Ampだと思っていて。本当の意味で、自然体でいられる家みたいなバンドだと思っています。みなさんにとっても、今日出会った人にとっても、このAm Ampという場所が、ライブという場所が、なんの偽りもない、嘘をつかないでいられる場所になれば嬉しいです。これからも一緒に大事な場所を作っていきましょう!」(須賀)

言葉以上に熱い想いを、Am Ampで最初に書いた曲“トロイメライ”に込め、丁寧に届けた4人。大きな歓声と拍手に包まれ、感動的なムードでステージをあとにした。

  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
  • 【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!
──と思いきや、やり足りないとばかりに、けたたましいデジタルビートをBGMにステージへ再登場! 「ちょっといい子なライブしすぎましたかね!?」と須賀がヤンチャな顔を覗かせ、2曲目に演奏した“HEAT”、さらにオープニングナンバー“bakemono”を改めて叩きつける。感動を塗り替えるようにメンバー全員がアグレッシブに暴れ回り、須賀はフロアに下りてオーディエンスと対峙。ロックバンド=Am Ampとしての本能をすべてさらけ出し、堂々2周年ライブを締め括った。

予想外のダブルアンコールが示す通り、この夜のステージに漲っていたのは「Am Ampはまだまだ満足していない」という4人の意思。経歴も肩書きも関係ない生身のロックバンドとして、Am Ampが突き進む未来に注目だ。(後藤寛子)

【特集】異色のロックバンド・Am Ampが2周年ツアーで示した存在感──4人の想いとファンの願いをひとつの未来へつなげたメモリアルな一夜をレポート!


●セットリスト
「Am Amp 2nd Anniversary TOUR 『Category or Unusual?』」

2025.7.11 渋谷WWW

01. bakemono
02. HEAT
03. トレモロ彼女
04. うらぎり
05. SUGAR SPOT
06. psycho
07. 貴方の屍になりたい
08. A Hard Day's Nite
09. ジェルネイル
10. チャイラッテ
11. 責愛
12. 夏的小故事
13. 慕情
14. chime ga nattara
15. 罪綴り
16. ミス
17. 雨鳴
18. わたしの
19. PZA
20. エンドロール

Encore 01
21. Ao
22. トロイメライ

Encore 02
23. HEAT
24. bakemono

Am Amp人気記事
  • 記事がありませんでした。

公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on