あいみょんが、ドミコとyonigeのロックに思い切り触発された夜! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part2・福岡編〜

あいみょんが、ドミコとyonigeのロックに思い切り触発された夜! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part2・福岡編〜 - photo by 永峰拓也(exc. ドミコ)photo by 永峰拓也(exc. ドミコ)
現在行われている「AIMYON vs TOUR 2024“ラブ・コール2”」。先日の名古屋公演ではHY大塚 愛との対バンで、愛とリスペクトに溢れたライブを繰り広げた。その次に臨んだのが福岡2デイズ。7月3日と4日、福岡サンパレスでの2日間はまさしく「対バン」と呼ぶにふさわしい熱い共演が実現した。普段のライブではあいみょんのポップでフレンドリーなキャラクターに癒されることが多いが、この福岡公演の2日間ではドミコyonigeとの共演によってあいみょんの「ロック」な一面が強く引き出され、終始テンションの高いライブで魅了した。サンパレスという歴史のあるホールがさながらライブハウスの様相で、この互いに触発し、触発されるという感覚もまた、あいみょんが「対バンライブ」に望んだものだっただろう。


●7.3 vs. ドミコ

あいみょんが、ドミコとyonigeのロックに思い切り触発された夜! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part2・福岡編〜 - photo by 元photo by 元
福岡初日の対バン相手として、あいみょんが「ラブ・コール」を送ったのはドミコ。今回のラインナップのなかで個人的に最も驚いたのがこのドミコだった。あいみょんが以前からフェイバリットとしてドミコの名を挙げていたのはよく知られているし、ドミコのオルタナティブなガレージサウンドが、聴く者を瞬時に引き込む力を持つことは間違いない。けれどポップシーンのアイコンたるあいみょんと、我が道を行く孤高のドミコ、この二者の邂逅は果たしてどんな結果を生むのだろうか。楽しみにしていたのは誰よりあいみょん自身だっただろう。結果としてドミコの凄まじいライブを観て、あいみょんは「めちゃめちゃ喰らった」と語り、その衝撃に触発されたあいみょんのライブもまた、相乗的にロックの衝動に満ちたものとなったのだ。

フェスやイベントでのステージは別として、ドミコがホールでライブを行うのは珍しい。とは言えまるで気負いなど感じさせず、普段通りの飄々とした佇まいで現れると、1曲目の“問題発生です”でいきなり観客のハートを鷲掴みにした。エフェクターやルーパーを自在に操りながら、さかしたひかる(Vo・G)のギターサウンドは自由にうねり、続く“びりびりしびれる”のアップテンポでソリッドなギターリフは観客の体を自然と揺らす。その場で自身の演奏するフレーズを録音してループ再生し、ギターサウンドを自在に重ねていくのがドミコのスタイルなのだが、あいみょんが「喰らった」というのも納得。2人編成とは到底思えぬアンサンブルに圧倒される。

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曲終わりに「センキュー」と口にする以外は余計なMCもない。客席から放たれた「ドミコー!」の声にも、「フッ」と鼻で笑って反応するのみだった。純粋にその音楽が観客を惹き込んでいく。“なんて日々だっけ?”や“のらりつらり”では、さかしたのギターはベースラインの役割も効かせながら、ボトムのどっしりとしたリズムの上で面白いようにギターソロを展開していく。 何より“ばける”そして“化けよ”の流れが圧倒的だった。サイケデリックな浮遊感を携えたギター、変幻自在のリズムを叩き出す長谷川啓太(Dr・Cho)のビート。リズムの緩急、サウンドの強弱、暗闇に蠢く生き物が躍動を始めるような音像に、会場の空気も高揚していくのがわかる。曲終わりは大歓声が沸き起こり、さかしたの「センキュー!」もライブが進むごとに熱くなっていった。

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変拍子で観客を翻弄しながらも見事なドライブ感でさらなる没入を生み出した“ユナイテッドパンケーキ”、そしてラストは、曲中にザ・ホワイト・ストライプスの“Seven Nation Army”のリフを引用しながらアップテンポのガレージサウンドで駆け抜ける“ペーパーロールスター”で締めくくると、さかしたは「センキューあいみょん! 福岡!」と言って風のように去っていった。剥き出しの、忖度なしの、衝動的かつ確かな技術に裏打ちされたふたりのプレイヤーによるアンサンブルは強烈なロックの余韻を会場中に残した。のちにあいみょんが語ったところによれば、さかしたはあいみょんとの最初の挨拶で、(冗談混じりに)「(今日は)殺し合いっすからね」と言ったそう。それを裏付けるような濃密なセットリストと演奏だった。

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続いて、ミントイエローのトップスにワイドなボトムというラフでクールなスタイリングでステージに現れたあいみょん。1曲目“ジェニファー”にすでに、いつもより力強くエモーショナルな雰囲気が漂っていた。しなやかな洋楽テイストを持つこの曲が、いつにも増して「ロック」の様相を見せていたのだ。あいみょんのハイトーンの力強さも格別だった。曲終わりにはたくさんの「あいみょん!」の声がかかるが、その声を遮るように、「ちょっと待って。ちゃうねん。私は今日めっちゃクールにいくって決めてんねん。ドミコを舞台袖で観ていて、喰らって、私もかっこよくなりたいと思ったから」と、素直に今のモードを告げる。「ジャンルで言ったら(ドミコは自分とは)違うかもしれへんけど、同じ空間に一緒にいられるのは嬉しい。また新たな発見があったらいいなと思っている」と語り、「福岡のライブは私の中でもかっこいい曲を選んでいるので楽しんでほしいです」との言葉の通り、その後もポップなグルーヴの中にロックを感じさせる歌と演奏で魅せていく。

あいみょんが、ドミコとyonigeのロックに思い切り触発された夜! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part2・福岡編〜
会場からの「かっこいい!」の声に「でしょ?」と笑顔を見せたあいみょん。ドミコの音楽に影響を受けてきたことを語りつつも「今日が初対面で緊張した。でもめちゃやさしくて、差し入れまでくれた」ことを明かした。自分が好きなアーティストを呼ぶ対バンツアーだからこそ、「私にとってはご褒美ツアーのようなもの」だと言って、「このツアーは毎回、セットリストをぼちぼち変えているので楽しんでもらえたら」と語りかけると、「久しぶりにやる曲」と言って“朝陽”を披露。伊吹文裕のドラムと朝倉真司のパーカッションがグルーヴを牽引しながら、あいみょんのアコギも歌も、いつにも増して力強く響く。この楽曲の「かっこよさ」をあらためて実感するような演奏に聴き惚れた。

あいみょんが、ドミコとyonigeのロックに思い切り触発された夜! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part2・福岡編〜
ロックの衝動に掻き立てられたあいみょんが歌う“貴方解剖純愛歌〜死ね〜”も格別だった。スケール感のあるロックサウンドに会場からのハンドクラップもはじめから力強く、サビの「歌えますか?」の呼びかけに、会場中が痛快な《死ね。》のシンガロング。バンドサウンドもそのエネルギーを得てさらにエモーショナルにドライブしていく。アウトロのあいみょんのフェイクもキマって、大歓声が沸く。その後、MCではドミコ・さかしたの「殺し合いっすから」の言葉に言及し、「そんな感覚持ったことなかったから、そうや、殺さなって思って。そういう気持ちで来てくれたことがすごく嬉しかった」と語りながらも、「あ、しゃべりすぎもよくないので、次の曲に行きたいと思います」と鼓動のようなビートを響かせる“ハート”へ。ミニマルなサウンドに乗せて、ファルセットを交えながらスタンドマイクで歌うあいみょんの姿がシンプルに美しかった。ドミコと「音楽でやり合う」というモードが全面に出ながら、いつものフレンドリーであたたかいあいみょんも滲み出る。その空気感がとてもよい。

あいみょんが、ドミコとyonigeのロックに思い切り触発された夜! 対バンツアー「ラブ・コール2」全公演レポート〜Part2・福岡編〜
ラストの曲を演奏し終え、メンバーがステージを去ったあとにも、あいみょんはまだ今日の対バンの興奮冷めやらずといった様子で、最後はなんと、ステージを降りて客席の間を駆け回りながらピックを投げたり、観客とハイタッチをしたりしながら、何度も「最高、最高」と口にしていた。予想以上に刺激的な1日目。こんなあいみょんを観るのはとても新鮮だった。

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