で。セットリストはこんな感じ。
1.intro
2.Stone Age
3.EASY
4.load the disc featuring VEABAL
5.turn it up
6.revivabble
7.ANOTHER
8.slash/slash
9.cassette
10.LADIES DON’T FIGHT〜Divorce
11.elegy train
12.CALM DOWN DEAR
13.Devasteted
14.episode ? featuring Kj
15.TOKIO LV
16.Figure it out
17.savvath
アンコール
18.u and i
19.Child’s Replay
ご覧の通り、4曲目にVERBALが、14曲目にKjが登場。いずれも最高。すさまじい存在感で場をさらってました。特にKj、こういうハコで観るとよくわかるが、立ち振る舞いとかもかっこいいが、まず声がでかい!という物理的なところでも強いパフォーマーなのだと改めて思い知りました。
で。2つのポイント、それを強く感じさせるライブだった。まずひとつめは、とにかく幸せだということ。5年もの間、SBKの再始動を待っていた超満員のオーディエンス。ほんとはずっとSBKやりたかったメンバー(SHUNとMASH)。ほんとはやりたかったんだろうけど、バンドが休んでいる間に他から仕事がばんばん来て(三浦大知とか加藤ミリヤとか)、忙しくしているうちに5年経った人(DJのSHUYA)。休止したくて休止して、休止しながらいろんなことをやったり考えたりしているうちに、またやる気になった人(Shigeo)。そしてそのスタッフたち。もうほんとに全員がうれしそうだった。特に後半のShigeo、こうしてまたSBKとしてオーディエンスの前に立てていること自体が本当にうれしい、という感情が丸出しの顔をしていた。
そして、さらによかったのが――これはバンド側よりもオーディエンス側が感じたことだと思うが――その「うれしさ」が、「SBKが戻ってきた」という喜びだけではなく、「昔のままの音を出してくれている」という喜びでもなく、「帰ってきたSBKがちゃんと新しいことをやっている、前に進んでいる」ことを確認できた、という事実だ。ニュー・アルバム『RETURNS』の曲はもちろん、過去の代表曲たちも、新しいサウンド・プロダクトに生まれ変わっている(最もわかりやすいのは、やたらBPMが速くなってアグレッシブになった“TOKIO LV”)。で、その生まれ変わった曲たちが、5年前では決してなしえなかった、なんというか「新しい鳴り方」をしている。それが、何よりもうれしかった。桜井誠という超強力なサポートを得たというのも、大きかったと思う。この人、ほんとドラマーとして優れている。DAとSBK以外にも、もっとどんどんやったほうがいいと思う。そんなヒマないとも思うが。
既存の音楽スタイルとしてでき上がった「ミクスチャー」ではなく、言葉本来の意味での「ミクスチャー」、何かと何かを混ぜることによって生まれる新しい音楽。例えばDragon Ashはそれを追い続けて、今のような前人未踏のサウンド・スタイルを築くに至っているが、SBKもやはりそうであることを、この日彼らが出していた音は、示していた。そしてそれが、明らかに、休止前よりも今の方が上手くいっていることも、示していた。エレクトロとヒップホップとロック、ラップと歌とインスト、それらの「他にない混ざり方」「聴いたことのない組み合わさり方」、それがステージ両端のスピーカーから放たれ続ける2時間弱だった。
あともうひとつ。実は休止前のSBKは、はっきり言ってあんまりライブ・バンドではなかったし、ライブに自信を持っているバンドでもなかったが、復活してわずか3回目のライブにもかかわらず、この日のSBKは、それを完全に払拭していた。という意味でも、バンドのエポックになったライブだった。気軽にいっぱいライブをやれる構造のバンドじゃないことは知っているが、これはもっと、いろんな人たちに体験させたほうがいいと思う。(兵庫慎司)