ウグイス嬢のアナウンス、アンパイアによる「プレイボール!」のコール、1曲やるごとにバックスクリーン上のスコアボードの打順のところに曲名が表記されていく、など、2004年の時と同じく、野球の試合形式に則って行われた。本編は前半後半に分かれており、前半は「1回表」、後半は「1回裏」、その間に30分の休憩あり。そのあとアンコールが2曲、という構成。
“無限の風”とユニコーンの“早口カレー”のあとのMCで、「もう僕は、こんな大きなことは、しません。これを期に、普通の人に戻ります」「まあ、普通に音楽活動をやっていきたいと思います。こんなお祭りみたいに……だんだん恥ずかしくなってきたんで」と、ちょっとマジっぽいMC。感謝の言葉のあと、“CUSTOM”を歌いだしたが、ギターのチューニングが気になって中断。スコアボードにエラーを示す「E」の字と出てビープ音が鳴り、みんな爆笑。
「行ってしまうのかマエケン! 早く帰ってきてね!」などと叫びつつ、“さすらい”で本編シメ。後半、OTの歌にお客さんの「♪どーなったー」のコーラスがかぶさってくる感動的な展開(いつもだけど)。
以下、この日現場で体験して、改めて気づいたこと。というか、2004年の広島市民球場の時気づくべきだったのにスルーしてしまったが、今回ようやくわかったこと。
これ、とんでもなくタフなトライアルだ。2004年にしろ2015年にしろ、いくら地元とはいえ東京や大阪ではなく地方都市で行う公演としてはとてつもなくでかい規模なわけで、ましてや普段ライブなど行われない場所での開催とあって、県観光連盟などの協力が不可欠なわけで、そうするとどうなるかというと、他府県から足を運んだ熱心なファン以外は、地元の人たち、ということになる。そりゃ地元にもファンはいるが、ファンじゃない人もいる。つまり「広島出身の有名人」としてOTを認識はしていても、必ずしもファンとは限らない、ロックファンですらない、という場合も想定できるわけです。“風は西から”と“イージュー★ライダー”しか知らないよ、という人も、普通のワンマンでは考えられないくらい存在する可能性があるわけです。そういう人たちも足を運んでくれるような、地元のお祭り的なイベントとして開催しているんだから、そうなることはむしろ歓迎すべき事態なんだけど、ということは、ワンマンだからフェスに出る時のようなセットリストにはできないし、かといって通常のワンマンと同じようにやってそれを通すのは至難の業、ということになる。
その間のことをやっているわけだ、しかも歌とアコースティックギター1本とメトロノーム&リズムマシン(それぞれ1曲ずつ)だけで。ソロの曲もユニコーンの曲も、カバー曲も、果敢にもサンフジンズの曲も織り交ぜながら。なんで。そんなふうに自分を追い込むようなことをやらないと、おもしろくないから、なのだと思う。
手元の端末で歌詞を探しながら、愚痴ったりぼやいたりしながら、時には曲を中断してチューニングを直して頭からやり直したりしながら、アコギを弾きつつ経年深化はあっても経年劣化のないあの声で次から次へと歌いまくっていくさま、ほんとに、すごいものがあった。というか、すごい経験だった、OTファンの立場として。そうじゃない立場のオーディエンスにとってどう響いたのか、とても知りたい。蛇足。2004年の広島市民球場、2011年の嚴島神社、そして今回のマツダスタジアム、3回の『ひとり股旅スペシャル』のすべてで歌われた曲は、“イージュー★ライダー”“野ばら”“The STANDARD”“CUSTOM”“さすらい”でした。(兵庫慎司)●セットリスト
01. 674
02. えんえんととんでいく
03. イージュー★ライダー
04. デーゲーム(ユニコーン)
05. 雪が降る町(ユニコーン)
06. 遺言
07. 何と言う
08. 野ばら
09. 私はオジさんになった(ユニコーン)
10. 風は西から(英語ver.)
11. SUNのSON
12. メリハリ鳥
13. The STANDARD
14. Darling(西野カナ)
15. 結婚しようよ(吉田拓郎)
16. アイ・ラヴ・ユー,OK(矢沢永吉)
17. 幸せであるように(FLYING KIDS)
18. さくら(ケツメイシ)
19. 人間はもう終わりだ!(真心ブラザーズ)
20. 世界の終わり(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)
21. じょじょ(サンフジンズ)
22. ハリがないと(サンフジンズ)
23. 無限の風
24. 早口カレー(ユニコーン)
25. CUSTOM
26. さすらい
(encore)
27. 最強のこれから
28. 風は西から