SEと共に、カネココウタ(Vo・G)、ヨシミナオヤ(B)、フジイダイシ(Dr)、ミウラウチュウ(G)の4人がステージに登場。アルバムの1曲目“She’s like Sofia Coppola”からライブはスタートした。静かに掻き鳴らされるギター、激しく頭を振りながらベースを奏でるヨシミ、突き抜けるサビのメロディでフロアからは一斉に手があがった。フロアから湧き起こった手拍子でダンサブルな空間を作り出したのは、2曲目“Night Circus”。ダンス、ダンスと歌いながら、《悲しいとき笑う癖が抜けなくて》と、どこか享楽的なムードには染まらないカフカらしい悲しみダンスロックに、オーディエンスが綺麗にコーラスも重なる。
「こういう素敵な1日に、みんなに会えたこと、乙っていう大好きなハコでやれるのが嬉しいです。ありがとう」と、感謝を伝えたカネコ。「生きてると良いことがあるって言われるけど、実際にはそんなことはないと思ってます。でも、なんとかして生きてる。そのことを褒めてくれる人が誰もいないので、自分で自分を褒めたいと思って作った曲です」と、曲に込めた想いと共に“サンカショウ”へと繋いだ。軽快なドラムがリードする開放感なムードで紡ぐメッセージは、先のMCとも相まってぐっと心に沁みてくる。
「昔住んでたところで、仕事の帰り道、誰かの家の入口に水槽に置いてあって、金魚が泳いでた。でも、あるときからその水槽は世話をされなくて、いつしか金魚は死んでしまった。そのときに見た金魚が俺に似てるなと思って、早くここから抜け出さなきゃいけないと思って作った曲です」(カネコ)と続けたのは、美しいギターの音色と共に紡いだバラード曲“月の裏側”だった。続けて、攻撃的なギターリフが炸裂したアグレッシヴなナンバー“ティファニーで晩餐を”、さらに疾走感のあるサビに《本当は呼吸困難で溺れそう》とSOSを訴えた“bananafish story”へ。映画や小説をモチーフにしながら、実在する東京という街に生きる自身のリアルを、様々な角度で綴った『Tokyo 9 Stories』というアルバム。その曲を書いた想いを丁寧に伝えながら進んだこの日のライヴは、通常のアルバムツアーよりも濃い密度で、リスナーと作品を共有できる貴重な機会だった。
この後、カフカは本格的なリリースツアー「LIVE 9 CITIES」を10月からスタートさせ、11月22日代官山ユニットでファイナルを迎える。おそらく最もシンプルなかたちで披露されたであろう、この日の『Tokyo 9 Stories』が、どのように変化するのか、楽しみだ。(秦理絵)
01. She's like Sofia Coppola
02. Night Circus
03. サンカショウ
04. 残飯処理
05. ニンゲンフシン
06. 月の裏側
07. ティファニーで晩餐を
08. bananafish story
09. 愛していると言ってくれ
10. 東京
(encore)
11. アルジャーノンに札束を