アニマル・コレクティヴ @ 恵比寿リキッドルーム

オープニング・アクトはクリア・ブレッカン。元ムームのクリスティンによるソロ・プロジェクトだ。ムームでは双子ヴォーカルの片割れとして、その歌声でバンドの神秘性を体現していた彼女だが、ソロになった途端ここまでアヴァンギャルドな方向に振れるとは、誰が想像しただろう。赤ん坊のような奇声を発しながら、「音楽以前」の音楽を奏でるそのさまは、ポップ・ミュージックの範疇を軽々と超え、パフォーマンス・アートの域である。普通に歌ったらいい声なのになとムーム時代を懐かしんでしまうほど、それは衝撃的だった。クリスティンによる1時間ちかいライヴが終わった後、いよいよアニマル・コレクティヴの登場である。フリー・フォーク/ネオ・フォークの文脈で語られることの多い彼らではあるが、ライヴを観たことのある人ならば分かるだろう、その本質はきわめてポップなものだ。といっても、このバンドのポップさというのは決して取っ付きやすい、居心地のいいものではない。キャッチーなメロディもあるにはあるが、それはすぐに音のうごめきの中に沈んでいってしまうし、何よりそれを歌うヴォーカリストの声は、歌というより叫び声に近い。それでも全体からポップさを醸し出してしまうところが、このバンドの面白さである。なんというか、全体の空気がどこか軽薄なのだ。メロディとか、ハーモニーとか、曲構成とか、そういう「ポップ・ミュージック」の諸要件を巧妙に回避しながら、それでもひとりよがりなアートに転ばず、れっきとしたポップ・ミュージックとして、つまり軽薄なノリでも楽しめる強度をもった音楽として提示する。アニマル・コレクティヴはそれができる類稀なバンドなのである。今回のライヴでも、ピコピコしたエレクトロニックなサウンドと戯れながら、エイヴィーは伸び伸びと叫び声を上げていた。ジオロジストはヘッドライトをおでこにつけて、頭を振りながらシーケンサーを操作していた。パンダ・ベアはフロアタムを嬉々として叩きながら、旋律らしい旋律もない歌を歌っていた(本来このバンドは4人組だが、残るディーケンはツアーに参加していないようだ)。ファンも着実に増えているようだし、次はフェスなんかで観たら楽しいんじゃないかと思う。(小川智宏)
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