──“ogorareya”は、かなり反響があるんじゃないですか?ホリウチ いろんな感想をいただいています。──食事を奢らされて、期待させられた末に、ただただ財布が空っぽになる悲哀……というか、この歌の彼、キレてますよね?ホリウチ はい(笑)。これは、もともとは知人の女性の話をもとにしています。コロナ禍の時期に親しくなった男性と焼き肉に行って、相手がマスクを外した顔を見て、気持ちが冷めたそうなんです。その話を聞いて、「彼は今まで勘違いさせられた瞬間もあっただろうに。焼き肉も奢ってるのに、なんてかわいそうなんだろう」と。あかり どっち側の気持ちもわかります。聴く女性によっては、気まずくなるのかも(笑)。こういう着眼点で曲を作るのも面白いですよね。──音でもかなり遊んでいるのを感じます。敢えて清らかなハーモニーにしたり、ブチ切れた心情が音で表されたりするじゃないですか。あかり ちょっと笑っちゃうような内容の歌詞でもあるけど、サウンドはかっこよくなっていると思います。──TAICHIさんは、“ogorareya”をどのように感じていますか?TAICHI 代弁してくれましたねえ(笑)。頭のAメロを最後にまた持ってきて終わるこのサンドウィッチな構成も気に入ってます。「わかってても、こういうのを繰り返しちゃうよね⋯⋯」っていう感じになっているので。──「奢るべきか論争」がネットとかでよく繰り広げられていますが、このテーマを描いたパイオニア、ロックバンド業界の第一人者がLaughing Hickなのは間違いないと思います。ホリウチ ありがとうございます(笑)。書いた時、「面白いのできたなあ」と思いました。自分が聴いた時にも面白いと思えて、新しいと感じてもらえるものになるように、いつも工夫しています。「面白いのできたなあ」と思いました。自分が聴いた時にも面白いと思えて、新しいと感じてもらえるものになるように、いつも工夫しています
──“グッナイ、グッバイ。”も切り口が面白いです。ホリウチ これは2020年くらいにはあったかもしれない曲です。──1番が男性で2番が女性の心情?ホリウチ そうです。“愛してるって”“休憩と宿泊”とかもそうですけど、1曲の中で視点が変わるこういうのは、Laughing Hickっぽさになっていけばいいなと思ってます。TAICHI Laughing Hickっぽい歌詞とサウンドですね。《「君がいない世界なんて/もうポップコーンのない映画館のようだ」》っていうフレーズが出てくるのもすごいなあと思いました。悲しみもある曲ですけど、楽しく乗れるフロアをお客さんと作りたかったので、軽快さを意識してプレイに臨みました。あかり 言葉とリズムが気持ちよく入ってきますね。そんなに長い曲ではないですけど、聴き応えがすごくあるという印象です。──《愛してるかい?抱かれてるのかい?/相性は合ってるのかい?/ずっと、ずっと愛してるぜ》って⋯⋯「こういうこと言うからおまえはフラれるんだよ」と思いました。ホリウチ 絶対そうですよね(笑)。あかり 男の子の幼さというか、余裕のなさみたいなのがだめだったんでしょうね。ホリウチ 男子が子供だから、男女はなかなか噛み合わないんですかね?──そうかも。“ogorareya”みたいなこと言うし。ホリウチ そうですね(笑)。──(笑)。問題のある登場人物が多い中、“glee”は今回の恋愛系の中でいちばんまともな男性だと思いました。バラードですし、ひたむきな愛情を感じます。ホリウチ 《“1番 好きな⼈とは結婚できない”》って言われた経験から生まれた曲です。「運命の人はふたりいて、最初に好きになった人は、幸せとつらさを教えてくれる人。ふたり目で永遠の愛を誓うんだ」みたいな話をされて、「だったらふたり目がいいわあ」と思ったんです。あかり 主人公がいちばんまっすぐですよね。可愛らしさも感じます。《2番⽬の好きになれたなら》というフックは、聴いてくれる人にいろいろ考えてもらえると思いますし、英語と日本語のバランスのあんばいもうまくできた曲ですね。TAICHI 《悲しい顔がバレないように/⼝尖らせて誤魔化したんだ》とか、愛くるしさも感じますよね。まっすぐなラブソングなのでいろいろな展開を入れるよりは、言葉を前に出したいと思いました。シンプルなドラムにして、そのうえで他のパートに遊んでもらってます。ちゃんと曲の紆余曲折⋯⋯なんだっけ? 臨機応変?あかり 起承転結かな?TAICHI そう! 起承転結(笑)。ボーカルで起承転結をしっかり表現できるような曲になったと思います。
──“ライラ”は、終わっちゃうのが嫌いな人の歌ですね。ホリウチ はい。「出会いは別れの始まりだ」みたいなことに違和感を覚えるというか、そこに抗いたいマインドで生きているんです。この曲は、「ライブでのお客さんとの出会いを始まりの出会いにするんだ」みたいな決意表明として書きました。あかり 人といるのが大好きなのが出ていますね。スタジオ終わりでも、そういう価値観の相違が出ることがよくあるんです。「まだ帰りたくない! まだ午前1時だよ? まだ全然朝まで時間があるじゃん。もっといようよ!」「いや。もう1時だけど……」ってなるので(笑)。TAICHI 僕は“ライラ”にすごく救われていて。恋愛の曲としても聴けると思うんですけど、Laughing Hickの中でもちょっと珍しい、背中を押してくれる曲というか。僕も背中を押されてます。《諦めるのに慣れたくはない/僕が好きな君を君⾃⾝が否定しないでよ》が好きです。僕も自分のことを嫌いになって自分で自分のことを否定していた時期があったんですけど、「そんな自分も愛していいんだな」と思って、泣いちゃいました。ドラムに関してはサンバみたいな感じも入れたんですけど、ライブで「みんなで行こうぜ!」という気持ちになれて、今、回ってるツアーでもいい景色を作れてます。今後、もっともっと大きな景色をこの曲で作りたいですね。──クズ男の曲がきっかけでLaughing Hickのことを知る人は多いと思いますが、こういう曲もあるのは、ぜひ知ってもらいたいところじゃないですか?ホリウチ そうですね。今回のEPは、そういうこともできたのかもしれないです。尖りたい部分もありつつのやりたいことのバランスのいい塩梅ができたので。いろいろ挑戦しつつ、Laughing Hickのいい部分も残せました。「今のLaughing Hickっぽさ」を示していますし、「中学生だったあの頃のホリウチコウタがこれを聴いても好きになって、心躍るんだろうな」という6曲になったと思ってます。──各曲のサウンドアレンジの緻密さも、今回のEPの聴きどころだと思います。ライブで気楽に弾ける曲は、あまりないように思うんですが。あかり そうですね(笑)。今回は過去イチ難しかったです。──ライブの規模が着々と大きくなっている中、バンドの今の状況をどのように感じていますか?ホリウチ 届けるところが見え始めているというか。自分が描きたいこともちゃんと見えてきている感覚があります。ラブソングを歌うバンドの代表格になっていきたいので、今後もラブソングを入り口として書いていくんですけど、そういう中でいろいろなことを描いていきたいですね。恋愛っていちばん人間の本性が見えるところだと思うので、これからもラブソングで人間くさいところを描いていきたいです。──始まった今のツアーのファイナルは、7月10日のZepp DiverCityですね。ホリウチ Zepp DiverCityでできるのは、喜ばしいことです。その分、プレッシャーもしっかり感じつつですけど。EPもツアーも、タイトルが『ハロー ノットグッバイ』。この意味みたいな、「出会いを終わらせたくない」というツアーになってます。Zepp DiverCityはチャレンジではあるけど、ちゃんと今までのハロー、出会いの花が咲く瞬間にしたいですね。その花をお客さんと一緒に見たいです。ソールドアウトがすべてはないですけど、ぜひお友だちも連れて来ていただきたいです。来てくださったお友だちもLaughing Hickのことを好きにさせますので。「任せてください!」と思ってます。Zepp DiverCityはチャレンジではあるけど、ちゃんと今までのハロー、出会いの花が咲く瞬間にしたいですね。その花をお客さんと一緒に見たいです