この数十人と一対一の会話をしてるって思えて。たぶん100人になっても、千人になっても、何人になっても、私、この会話ができるって思ったんですよね
――本当に、歌も変わった。すごくいいと思いますよ、この歌。
「変わりましたよね、だいぶ」
――自分でも思う?
「思いますね。喉をいたわるようになった。Aメロから最後のラスサビまで100%出し切るのが歌なんだっていう考え方だったんで。それがAメロではやさしく歌ってみたり、サビでは伸びやかに歌ってみたり、そういう、余裕を持ちながらできるようになって。あとはほんとに長く歌っていきたいって思ったんで。それまではもういつ死んでもいいみたいな。それファンに失礼じゃないですか。でも本気で思ってたんですよ。でも今はずっと歌いたいし、いろんな自分を出したいしって思って。たぶんビックリされるんじゃないですかね、昔を知ってる人たちからしたら」
――でも、違う人になったわけじゃないけどね、過去を捨てて、またゼロなんだよっていう感じではないけどね。ちゃんと、今までの自分を引き受けているし。
「まさに“わたしが愛すべきわたしへ”っていうタイトルがそうで。『愛すべき』ってことは愛せてなかったわけじゃないですか。だから、過去の自分を受け入れるというか……まさに、この言葉に全部込めてるって感じがしますね」
――でもそれも、込めよう!っていうんじゃなくて、正しいものを付けたら、全部込められたじゃん、っていう順番でしょ?
「そうです、そんな感じでした」
――だから、あるんですよ。たとえるなら、すでにあるものにペンキをかけて、かたちにするっていう、そういう作業だった。
「ああ、なるほど、あるけど透明みたいなものなんですよね」
――自分の中にあるって薄っすら気づいてるんだけど、かたちを与えるっていうのはもう、作品として世の中に出すってことだから、リスクもあるし。
「そうですね、ああ、納得です」
――だから最近のライヴ、この前も観たけど、全然違うよね。
「違いますね。まさにあの(4月15日)duo(MUSIC EXCHANGE)のライヴは、みごとに違ったライヴができた日だったんですよ。それは自分がわかったし、メンバー全員がわかったし……ここから、うんと変わるんだなあって思ったんですよね。あ、スタートライン引いたって」
――なるほどね。あの日初めて(“わたしが愛すべきわたしへ”を)歌ったの?
「そうです」
――この曲歌ったときにさ、自分の中のモードが、今までとは違うモードになるのがさ、わかったと思うんだよね。どうだった? 正直なとこは。
「気持ちよかったですね。お客さんいなかったですけど(笑)。でもなんか、この数十人と一対一の会話をしてるって思えて。それがたぶん100人になっても、千人になっても、何人になっても、私、この会話が一対一でできるって思ったんですよね」
――あれからライヴ何度かやってると思うけども、お客さんの反応は変わってきた?
「変わってきましたよ。やっぱり、物販が売れますね(笑)」
――それもうすっごいシンボリックな話じゃない、ちゃんとこのバンドがつむごうとしている物語が自分の物語なんだって思ってくれる人が増えたってことでしょ?
「そうですね、たぶん新しい人が聴く耳を持つようになったんだと思うんですよ。なんか、自分のファンだけに向けた歌じゃなくて、初めて聴いた人にも、あ、自分の為に歌ってもらえてるんだって……そういうことか!って」
――要はさ、北風と太陽みたいな話なんだけど、歌もそうだよ。元気出してよ!っていう歌詞じゃなくて、ほんとに元気出そうよって気持ちで書いた歌詞だとみんな元気出してくれるんだよね。
「ほんとそうだと思います。北風と太陽、私好きなんですよ、すごい」
――これはすばらしい作品だと思いますよ、ほんとに。
「よかったです、そう言ってもらえて」
リリース情報

『わたしが愛すべきわたしへ』
蟲ふるう夜に
DQC-1280/発売中
- 1. ホウセキミライ
- 2. わたしが愛すべきわたしへ
- 3. フリーダム
- 4. 金盞花
- 5. オトナのうた
ライヴ情報
「異端児フェス」-SOLD OUT-
6月25日(水) 東京 キネマ倶楽部 18:00 / 19:00
出演: SuG / BiS / 蟲ふるう夜に(O.A.)
「蟲ふるう夜に×duo MUSIC EXCHANGE presents 246 UNLEASHED」
7月9日(水)東京 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE 18:30 / 19:00
出演:蟲ふるう夜に / Hello Sleepwalkers / QOOLAND and more
チケット料金:前売り3,000円 / 当日3,500円
※別途入場時ドリンク代が必要となります
提供:ノンターミナス
企画・制作:RO69編集部