アーリー90Sの夢か幻か!?

スイム・ディープ『ホウェア・ザ・ヘヴン・アー・ウィー』
2014年01月22日発売
ALBUM
スイム・ディープ ホウェア・ザ・ヘヴン・アー・ウィー
これは一体何事か?という音が鳴っている。ピースと共に「B-Town」ことバーミンガム・シーンを担うニューカマー、スイム・ディープのデビュー作、ここにはネオ・サイケ発マッドチェスター経由シューゲイザー行き、みたいな、ざっくり言うとそんな夢のような音が鳴っている。つまり、ブリットポップ勃興前のUKインディの約10年間がぎゅっと凝縮してつまっているということで、あの時代に青春を送った三十代半ばの同胞諸氏はこれを好きにならずにいられる理由がひとつも見つからないだろうし、UKインディが頑なにインディらしかったあの時代の蒼く、ナイーヴなサウンドは不思議と未だ瑞々しく響く。その瑞々しさの源はローゼズの“サリー・シナモン”にも似た煌めきで、かと思えばデビュー・アルバム時点のブラーやプライマル、はたまたセカンド以降のジザメリを彷彿させる「人生諦めかけ」の柔いサイケ・ナンバーもいい。ケミカル・ウォッシュのデニムにニルヴァーナのTシャツに履き潰したコンバース……といった佇まいがハーモニー・コリンの映画の主人公みたいなバンドのヴィジュアルもまた、90年代の痛痒い青春を燻られる。(粉川しの)
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