ひとりでも大作
ジム・ジェームス『リージョンズ・オブ・ライト・アンド・サウンド・オブ・ゴッド』
2013年02月06日発売
ALBUM
マイ・モーニング・ジャケットのクマ兄貴ことジム・ジェームスの初ソロ・アルバム。マイ・モーニング・ジャケットのような壮大なスケール感を持つサイケデリック・バンドのメンバーがソロ作を作る時、得てして極端にラフ化・フォーク化・アンプラグド化して「素の自分」を等身大のスケールで描こうとした作品が多い。まるでバンド・サウンドのサイケデリックを夢、ソロのシンプルなサウンドを現実と定義して分けるかのような配慮が働くのだ。翻って本作はそういう傾向とは全く無関係な一枚である。その風合いこそマイ・モーニング・ジャケットの重厚さに比べるとデモっぽいが、マイ・モーニング・ジャケットにひけをとらないスケールを持つキャンバスに、マイ・モーニング・ジャケット以上にカラフルなアイディアがちりばめられている本作は、むしろバンド・サウンド以上にドリーミーでサイケデリックな一枚だと言っていい。カリビアンなメロディやヒップホップのリズムという点では、今後の彼らの活動を活性化させるんじゃないかという可能性も感じる。なお、ソロにあるまじきスケールの作品ゆえにライヴでのプレゼンがジムのソロとしてはちょっと想像できなかったりもするが、むしろ本作の楽曲をマイ・モーニング・ジャケットで演ってみてほしい。 (粉川しの)
2013.02.06 20:30