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新しいことを始める時、途方もなく高い壁が立ちはだかっているように感じることがある。その正体は、取り巻く環境や心の迷いから生じる不安、つまり自分への自信のなさかもしれない。そんな壁を飛び越えるための翼になりうる一作が、緑黄色社会の『風に乗る』だ。20世紀初頭のパリで夢を追う少女たちを描いたアニメ映画『パリに咲くエトワール』のために書き下ろされた2曲。映画の時代性と響き合いながらも、今の時代にも通じる温かな自己の肯定が、異なるアプローチで滲み出る。壮麗で華やかなサウンドに乗せて《私はここにいる 私を生きていく》と歌う“風に乗る”は、自分という存在の輪郭を際立たせ、心に巣食う澱みを弾き飛ばすように、力強く宣誓する。その一方で、夜に溶け合う静かなバラード“étoile”では、《私らしいやり方でいい》《素直に私を抱きしめてみる》と自分自身を優しく包み込んでいくのだ。新しい一歩を躊躇してしまう誰もが自分を重ねられる今作は、踏み出す勇気をそっと育ててくれるはずだ。(江口祐里)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年5月号より)
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