今年のラウドパークに出演が決定している(その後キャンセルに)ストーン・サワーの新作は、なんと二部作となるコンセプト・アルバム。これまでもこのバンドでスリップノットとはまた別種の才能を発揮してきたコリィだが、4枚目の今作では壮大なコンセプト・ストーリーを書き上げている。11年に著書『Seven Deadly Sins』で作家デビューも果たしているだけに、作詞を超えた言葉の表現力はさすがだ。それがデイヴィッド・ボットリルをプロデューサーに迎えて作り上げたサウンドと一体となって、かつてないドラマ性を宿したヘヴィ・ロックの新たな可能性を示す野心作となっている。力を誇示する激しい曲から繊細さを覗かせるソフトな曲まで、コリィのヴォーカルは曲調によって表情を変え、心を鷲掴みにするメロディで物語を引っ張っていく。サウンドにはアリス・イン・チェインズを思わせるダークで混沌とした美しさがあり、そしてレコーディングではスキッド・ロウのレイチェル・ボランがベースを弾いているというのも興味深い。第二部は来年春にリリース予定で、ストーリーの全貌を知った後で今作を再び聴き直す時が来るのも楽しみだ。(網田有紀子)