R&Bの新星としてデビュー・アルバムをヒットさせ、その後はロックをベースにしたポップ路線へと大胆に乗り換えて自らのキャリアを開花させたピンク。サード以降もパフォーマー、ソングライターとして順調にステップアップしてきたが、プライヴェートでもいくつかのハードルを乗り越えて遂に母親ともなって、いよいよ臨んだのが本作。そんな境地に至ったピンクが「愛をめぐる真実」と向き合ってしまうのだから、これは本当に力作なのだ。特にアルバム・タイトル曲のメロディと歌詞の完成度の高さとピンクの攻撃的なパフォーマンスには舌を巻くし、客演するリリー・ローズ・クーパーことリリー・アレンの歌がかわいすぎる。要は、この両面があってひとつということなのだが、あまりにもツボを得た作りとパフォーマンスに脱帽。とにかく、捨て曲なしの驚異のクオリティーを誇る作品だが、本当に驚いてしまうのが、エミネムをゲストに呼ぶために書いたとしか思えない〝ヒア・カムズ・ザ・ウィークエンド〟。実際、エミネムも完璧なフロウを披露してくれるのだが、おそらく本人もこのトラックの出来のよさには驚いたと思う。(高見展)