ここまでやればワナビーも認める

ザ・ブラック・キーズ『エル・カミーノ』
2011年12月21日発売
ALBUM
ザ・ブラック・キーズ エル・カミーノ
米チャート過去最高位を達成、更にはグラミー受賞と、昨年の『ブラザーズ』で本格的なブレイクを果たしたブラック・キーズ。そこで余裕ぶっこいて長期オフ……なんてことなく新作が到着したのは、多作を誇る彼ららしい。
 
メンバー編成、影響やスタイルといった共通項ゆえにザ・ホワイト・ストライプスの影からなかなか抜け出せずにいた彼らだが、スラッジーなガレージ・ブルースから音を広げ、個性を獲得するきっかけになったのが、歩く音楽百科事典ことデンジャー・マウスとの出会い(=前々作『アタック&リリース』)。「第三の兄弟」と呼ぶほどウマが合う彼と再び組んでの本作は、どキャッチー&トラッシーなフックと抗いがたいダンス・ビートの波、アレンジの妙にうならされる、今流ロックン・ソウルが痛快な内容になった。手の込んだレトロ・シミュラクラとも言えるし、実際「どこかで聴いたような」リフやコード進行はゴロゴロ転がっている。しかし、前作収録“ハウリン・フォー・ユー”PVでの『キル・ビル』パロディを思い返すと、古典/クリシェのキモをリミックスし再提示するタランティーノの手際は、ブラック・キーズ&デンジャー・マウスのそれにも通じるなと思う。(坂本麻里子)
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