全7曲、18分59秒。『コズモグランマ』から考えると、かなり早いペースでのリリースになるが、創作力が爆発しているということだろう。プレイボタンを押して、1曲目の“クレイ”のイントロから、これぞフライング・ロータスという音にノックアウトされる。一筆書きで作った印象もあるが、今は自身で描いた宇宙の中を漂うのが楽しくてしょうがないのではないか。完全になにかを掴んでしまっている。ノリにノッているアーティストには、こうして自然と曲がどんどん溢れてしまう、そんな時期がある。今のスティーヴン・エリソンもまさにそんな状況なのだと思う。ジャケットも最高。こういう盤こそアナログで欲しい。
裏返せば、今回の7曲はすべて『コズモグランマ』の延長線上に位置するものであり、このEPを出すことで本人としては次の場所に向かう意志の表れなのかもしれない。『パターン+グリッド・ワールド』というタイトルも示唆的だ。現在、彼はアメリカ・ツアーの真っ最中。このあいだ汗まみれで観た来日公演でも思ったが、彼の描き出す神秘はフロアに降りると、一気に熱を放出する。早くあの体験を味わいたい。(古川琢也)
曲が溢れ出て、止まらない
フライング・ロータス『パターン+グリッド・ワールド』
2010年09月11日発売
2010年09月11日発売
ALBUM