本人もインタビューで語っていた通り、アフィとは着せ替え人形である。曲ごとにプロデューサーがついて、それぞれの思う服を着せていく。そういう意味では、よくあるアイドルと変わらない。しかし、その素材の良質さゆえミュージシャンからのリクエストが殺到。アルバムがリリースされる前から一部ではファッション・アイコン化され、アルバムに対する巨大なプレッシャーを生み出すことになった。結果、アフィは活動を休止し、ようやくリリースされるのが本作ということになる。
ただ、そういう背景は置いといてもいいのかもしれない。このアルバムを聴いていると無責任に騒ぎたくなる。ミルウェイズ、Mr.オイゾー、セバスチャン、フェッズといったフレンチ・ハウス周辺のスタッフが集結したトラックは予想通りフロアの期待に正面から応えるもの。男側からの妄想を弄んで、颯爽と出し抜く女性という、よくある構図ではない。むしろ一晩の狂騒を生み出すためなら、お人形にでもなり切ってみせましょうと腹を括っている。それこそが彼女のやり方なのだ。結果、“ポップ・ザ・グロック”、ファレルも参加した“ADD SUV”、“MCズ・キャン・キッス”といったアンセムがアルバムでも輝くことになった。最早、これはサブカル・メイド・カフェ状態。しかし、このルックスは卑怯としか言いようがない。（古川琢也）
