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烏にはどんなイメージがあるだろうか。電線に止まりゴミ袋のそばを低く飛び、捨てられたものさえ糧にして生きる都市のサバイバー──米津玄師は「2026 NHKサッカーテーマ」であるこの曲に“烏”というタイトルをつけた。もちろんその背景には、日本サッカー協会のシンボルである八咫烏の存在があるだろう。だが、この曲に現れる烏は勝利へ導く神聖な鳥としてだけではなく、光と影を併せ持つ両義的な存在として立ち上がってくる。無垢な子ども時代を経て、残酷な時間の流れの中で大人になった「僕」は、《なあ お前には何が見える?》と問いかけ、己の心の暗がりへと目を向けながら、やがて《一羽の夢見がちな烏》として翔けていく。その先に待つのは《埃まみれで続く路地裏を辿り直していく》という終わりの見えない生の道のりだ。しかし、その道を見晴らす目には、社会の観察者である烏のようなタフな視座が宿っている。シリアスだがシニカルではない、冷徹だが冷淡ではない。この時代を生き抜くためのしめやかでしなやかな応援歌。(畑雄介)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年8月号より)
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